Just call my name, when you need me【短編集】11 (ページ17)

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【優吾】

「んんっ…ｹﾎｯ、ｹﾎｯ」

黄「…っと、やだね」

「んん〜…っ、ゅ…っ、ﾊｧｯ…ん〜…」

黄「ん、だーいじょぶ、だいじょぶよ…。ねんねしていいよ…」

樹が体調崩したのは、突然のことだった。

正直焦ったけど、それと同時にどこかホッとしていた。

ちぃが亡くなって、泣く暇すらないくらいに子どもたちの世話して、家のことも仕事もって駆け回りながらずっと気を張っていた樹。

北斗が場面緘黙という症状と向き合って、Aが季節の変わり目で体調落ち着かなくて、挙句北斗もドカンと体調崩したり。

そんな中で樹まで体調なんて崩している場合じゃない…なんて感じに、いっぱいいっぱい張り詰めていたのを危なっかしく見ていたから。

黒「…ゆーご」

黄「…ん？おぉ、北斗。どした…？」

黒「…ぼくも」

黄「ふふっ…おいで。よいしょ…っ。ちょっと狭いけど…いいよな、あったかいし」

黒「んっ…」

黄「ん、もうちょっとこっちおいで」

小さな、まだ子どもの体温。

ギュッと抱きしめれば、驚いた顔をこちらに向け、モゾモゾとこちらに近づいてキュッと俺のスウェットを握り締める小さな手。

反対側からは、スースーとようやく穏やかになった寝息の合間、時折混じる控えめな咳き込み。

すぐ隣の部屋にいた北斗に、聞こえてないはずなかったんだと思うから、コイツもコイツなりに、不安が募ってはいたんだろう。

黄「明日はパパんとこ行こうな」

黒「ん…」

黄「いいよ。寝れなかったら、ちょっとお話する？」

黒「…A、起きちゃうから…いい」

黄「ふふっ。したら、Aも一緒にお話したらいいじゃん？だから、我慢すんな」

ストレスや不安…その結果の場面緘黙やら、高熱やら。

北斗が頑張りすぎているのは、そのせいで苦しい思いをしてしまってるのは、十分すぎるほどに目の当たりにしていたから。

北斗も、Aも。

ちぃや樹の代わりになれるだなんて思っちゃいないけど、俺にできることは、なんでもしてやりたかった。

この小さな体が、抱えきれないほどの我慢で押し潰されてしまわないように。

黒「ゆーごぉ〜」

黄「んー？お、準備できたー？」

黒「できたっ！」

「Aもっ！」

そうやって、ただ二人には無邪気に笑っていて欲しいだけだったんだ。