Just call my name, when you need me【短編集】11 (ページ14)

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【宮舘】

黒「Aに、早く会いたいから…」

“大事なのは…根本、じゃないかな”

佐久間の言う通りだった。

ほっくんが焦る理由は、上辺だけの“早く退院したい”だけじゃなかった。

やっぱり、ほっくんの根本にあるのは家族で…なにより、大好きなAのことでだった。

少し考えればわかることなのに、見落としてたなぁって、俺たちも反省したところ。

宮舘「ん？なに、それ」

佐久間「んー？まぁ〜…シュミレーション、的な？なになら北斗が一番納得するかなぁって」

宮舘「それで、見返してくれてたわけだ。ほっくんの、これまでの指導録」

佐久間「うん。何か、ヒントになることあるかなって。でも…やっぱ、ちゃんと説明するのが一番かなぁって思ってる。北斗、もう5年生だから」

宮舘「えっ…」

佐久間「これだけ頻繁に関わってると、成長がグラデーションで気づきにくかったりするけど…北斗、5年生なんだわ。そろそろ、ほっくんと北斗の交点に近づいてきてんじゃないかな」

“至極当たり前ですけど”って照れたように笑いながらも、カルテと向き合う佐久間の顔はすごく真剣で。

長い付き合いだからこそ、今が彼にとっての踏ん張り時だってことも、ひとつ階段を登るタイミングってことも、ちゃんと理解してるからこそ…。

きっと、佐久間だからこそ向き合える北斗の“今”があるんだろうと、そう思わずには居られなかった。

“ほっくん、まぁじで可愛いのよ”

“なーんか…嫌なことでもあったのかな。ご飯あんまり食べてくれなくてさ”

“我慢しすぎなんだよ、まだ子どもなのに…”

“ほっくんならできるよ。俺が、説得する”

いつだって佐久間は、担当看護師として誰より真正面から北斗と向き合ってきた、北斗のかけがえのないサポーターだから。

佐久間「よしっ。…俺、話してくるね」

宮舘「ん、お願いね」

“まっかせなさーい！”って、響き渡った佐久間の高らかな返事。

渡辺「…大丈夫。佐久間は、間違わないから」

宮舘「ん？」

渡辺「すごい心配そうな顔してる。けど…佐久間は、誰より北斗のことよくわかってるから。心配ない」

その言葉の通り…。

黒「ゆっくりを頑張るんだよね。一段、一段だよね」

悔しい顔をしながらも、そう呟く北斗の背で微笑む佐久間を見ればさ。