キミのため、ボクがいる。 ページ1
【樹】
予防接種、ちゃんと今年も頑張ってくれたんだけどなぁ。
なんて、今さら思ったって仕方がないわけで。
「っ、ﾊｯ…ﾊｧｯ、ﾊｧ…ﾊｧｯ、ｹﾎｹﾎｹﾎｯ、はぁっ…」
青「A〜？脱水怖いから、水分だけ頑張ってー？」
「…ん、っ､ｹﾞﾎｺﾞﾎｯ…っ、ｹﾞﾎｯ…ｾﾞﾎｯ…」
青「ん、ごめんごめん。しんどかったな…寝ていいよ」
黒「ただーい…おぉ」
青「おぉ、悪りぃ」
午前中、ちょっと血糖高めかな…ぐらいで、それでも普段通りに送り出した小学校から、数時間も経たない午前中のうちにお呼び出し。
送り出した時には、さほど血糖以外気になるところはなかったのに、一気に上がったらしい熱で、迎えに行った時には保健室のベッドで顔を真っ赤にさせていたA。
北斗に一言メッセージ入れておこうなんて頭、すぐに吹っ飛んで慌てて病院に寄れば、嫌な予感はしてたけど、案の定流行りのインフルエンザ。
毎年のことだから、ある程度…とはいえ、である。
深澤「樹、薬もらってきた。熱、どう？」
青「あー、すんません。…また上がってんすよねぇ、解熱剤もそんなには使えないし」
深澤「あー…心臓ね」
そう…。
インフルエンザ自体は去年も一昨年も罹っていて、決して大丈夫ってわけじゃないけど、それなりに乗り切ったものの、今年は少しAの元々の体調が良くない。
ここ最近、1型も不安定な状態が続いていたし、心臓の発作も小さいのが何度か続いていて、今日もよく入院を告げられなかったなって思ったくらいだ。
けど…時間の問題かもなぁ、なんて。
拗れる未来しか見えないのは、俺のネガティヴさのせいだろうか。
黄「A、インフルだってー？」
青「あぁ、おかえり…」
黄「あちゃぁ…真っ赤っかじゃん。これは、しんどいわ。発作は？大丈夫なの？」
青「まぁ…」
黄「時間の問題か」
青「そういうことだよねぇ…。あぁ、俺…」
黄「しばらくAと籠るって？んなことしたら、お前までぶっ倒れるぞ。やめとけ」
それは俺も困るから一緒に看病させろっていう兄貴は、やっぱり俺のことを、俺たち家族のことをよく分かってくれていて、それだけですごく、心強かった。
それと同時に、相変わらず目の前のことばかりになってしまう自分の、余裕のなさを感じていた。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年11月30日 20時
