57話 ページ7
【亜嵐】
亜嵐「A〜、これ頼むわ」
「はーいっ！あ、亜嵐さん、これ東高のデータ預かってます。分析に使うって聞いてたんで、渡しておきますね」
亜嵐「おぉ、さんきゅ。あ、これさ…」
「あ、OKです！部屋持って行っておきますね！」
早いもので、3年生の退寮から2週間。
束の間の休みはあったけど、みんな一瞬帰省して帰ってきてからは、もう切り替えた新チームだった。
甲子園の決勝は、寮のテレビで新チームのみんなで一緒に観た。
決勝の舞台で戦う高校のメンバーは、圧巻だった。
圧倒という方が正しいだろうか。
亜嵐「去年は、俺らも最後までここにいたのにな…」
束の間の休日から戻ってきたメンバーたちは、甲子園で噛み締めた悔しさも、先輩たちから託された思いもうまい具合に消化しているように感じて…。
それなのに…キャプテンを託されたにも関わらず、俺は多分、まだ切り替えられていなかった。
悔しかった。ただの一度もあの場所で校歌を歌えなかったこと。
ずっと憧れで、尊敬の、届きそうで届かない存在だった、俺にとって圧倒的な存在だった先輩たちでさえ立ち向かえなかった壁。
“キャプテン”というその肩書きとともに、そんな先輩たちを超えることへのプレッシャーに、耐えきれずにいた。
「亜嵐さん…大丈夫ですか？」
亜嵐「あ、ごめん。行こっか」
「部屋、どうしますかねぇ…。なんかまだ掴みきれてないこと多いんですよね〜」
亜嵐「あぁ…ん、そうだね…」
そうだ、9月までには新チームの体制を踏まえて部屋替えもしなくちゃいけない。
キャプテンとしてやることは、山積みなのに…。
前を向ききれなくて、逃げたいとも思って…そんな、弱さしかない自分。
でも今は、たった数ヶ月で頼もしくなったAが、必死に俺の片腕をしてくれてるおかげでなんとかやれてるなって、隣のAを見て思う。
亜嵐「部屋は、今日中に決めよう。A、手伝ってもらってもいい？」
「もちろんです！」
亜嵐「お前、すげぇよな。中学の頃はあんなにキラキラした世界にいたのに、たった数ヶ月で…」
「亜嵐さん！……私も必死に、切り替えてるんです。アイドルやったこと…高校3年間は、忘れるんで…」
夏から切り替えられない俺にとっては、思いっきり突き刺さる一言だった。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
