56話 ページ6
【片寄】
一瞬だった。
先輩たちは、本当に強かった。
けど…。
「甲子園、楽しかったけど…悔しかった」
片寄「うん…そうだね」
入部してからのこの数ヶ月、苦しいことも沢山あったけれど、どんなに苦しくて、しんどい時も、いつだって優しい笑顔を向けてくれてた今市キャプテン。
監督にクソほど怒られて、悔しくてたまらない時も、耐えきれずに悔し涙流して、それでも何もできなかった時も、いつも静かにそばにいてくれた世界さん。
そんな頼れる大好きな先輩2人が、周りの目なんか一切お構いなしに声をあげて泣いてた。
そんな3年生をまっすぐ見つめて、2年生の大樹さんは、グッと何かに耐えるように、強く拳を握っていた。
数原「一生…焼き付けた」
負けたら終わりのその大会で、憧れの晴れ舞台からいつもの場所へ戻ればすぐに退寮をする先輩たち。
明日から、チームが変わる。
たった数ヶ月だった。
でも、大好きや、憧れの先輩たちとは、間違いなくチームだった…チームで、いられた。
一生、焼き付けた…そんな高校初めてのチーム。
今市「頼むぞ、新キャプテン」
退寮の日、23人の3年生からあとを託されたのは、白濱さんだった。
白濱さんは、1年生の夏からベンチ入りをしていた、技術にも定評のあるレギュラーメンバーで、今年の夏も2年生ながら3年生主体のチームで主力の1人だった選手だ。
あの歓喜の瞬間も、今回の楽しくも悔しい時間も、白濱さんはいつもチームの中心の1人として、その心を誰よりも噛み締めている人だった。
葉月「マネージャーは、A1人になる。たぶん、あの子は…素直に弱音吐いたり、苦しい顔見せることはないと思う。頼んだからね、みんな…」
世界「ハハッ。うん…そうだね。泣き虫だけど…すげぇ弱虫なマネージャーだけど、大事な時には、一人で堪えちゃうのがAだからね」
今市「助けてやれよ、お前らが」
Aが席を外している間に、三年生から託されたこと。
葉月さんは、最後まで泣かなかった。
相手校の校歌を聴きながら、ベンチの前で、2年半毎日過ごした野郎どもの隣で、凛としていた。
退寮の今日も、一切泣かなかった。
「私は2年後、どうなってるんだろう…」
葉月さんと、寮で最後の食事を終えたAは、彼女と違って泣き虫だった。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
