100話 ページ50
【勇人】
勇人「なんやねん、ぐっすり寝てるやん…」
三男「さっき寝ちゃったばっかり。兄ちゃん来るまで起きてるって、結構頑張ってたんだけどね」
延長引き分けの今日の試合が終わったのは22時すぎ。
でも、明日からAの抗がん剤治療が始まるから、その前にどうしても病院には行きたかった。
きっと、強がって大丈夫だって言い続けてるだろうし、でもそんなの本心じゃなくて、きっとこれからのことに、不安も恐怖も抱えてるだろうから。
そんな時こそ、誰かと一緒にいたいだろうから。
けど、まぁ…そうだよな。
勇人「今日は俺が残る。お前明日も大学やろ？俺、どうせ明日も一日ここおる予定やったから、あと大丈夫やで」
三男「おっけ、サンキュー。ほな、Aんこと頼むわ。じゃぁな、A…」
そうして弟と別れてから、何時間くらいしたかな…気づいたら俺もベッドにもたれたまま、ぐっすりと寝てしまっていた。
次に起きた時には、まだ朝と言うには早すぎたけど、ユサユサと揺すられる感覚で目が覚めた。
勇人「んぁれ？おぉ…ふふっ、なんや、起きちゃった？」
「…はやと、にぃちゃ…おった…」
勇人「ん…。試合、終わって…そのまま、来てん」
「な……にぃ…ちゃ……。…わがまま、言うていい…？」
勇人「なん？」
「明日…朝、おってほしい…。こー、がん…ざい…1日目、ひとりは…怖いから…」
後半は恥ずかしいのか、半分布団に潜ってそんなこと言ってるA。
思春期だなぁーなんて思いながらも、頼ってもらえるのは嬉しくて。
これまでずっと、弱いところなんて見せずに頑張って来た妹だから、こうして言葉にしてくれることに、どれだけ勇気を振り絞ったのかなんて、よく分かっていた。
勇人「大丈夫。初めからそのつもりやったで」
兄貴や弟が色々と話してくれたみたいやけど、まだまだ素直になれない妹やけど、やっぱり可愛い妹。
だからこそ、明日から治療が始まること、左足の切断へのカウントダウンが始まることは、悔しくてたまらない。
何度も代わってやりたいと思った。
でもそんなこと言えば、絶対にAが起こるのはわかってるから、言わない。
勇人「一緒にがんばろな…」
明日から治療が始まるってのに、楽しそうに笑う妹にそう伝えながら、俺は泣いてた。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
