99話 ページ49
みんなには、抗がん剤治療は前にもやってたし、慣れてるから大丈夫なんて言ったけど…。
慣れてるし、分かっているからこそ、余計にそのしんどさだったり、これからの苦しさまで浮かんでしまう。
「大丈夫じゃないよ…」
三男「なーにが？」
「うわっ…！ビッ…クリした。も〜…ノックしてから入ってきーや…」
三男「したってお前が気づいてなかったんやって」
別に何も言ってなかったし、まさかちい兄が来てくれるとは思ってなかったから、こうして突然来てたことに、嬉しさと、安心を覚えた。
早めに用事終わって時間合ったから来てみた、なんて平然を装っているようだけど、ものすごく心配そうな顔をしてる、ちい兄。
聞かれちゃったもんね…さっき思わず呟いた言葉。
三男「A…？」
「大丈…「お前は、まだ子どもやぞ」
「…？」
三男「いい子に、なんなくていい。わがままでいい。多分な…甘える時間を、くれたんちゃうかな。母さんが。もっと、強がらずに…甘えて、ええんやで？」
何言うてんやろな…って笑いつつも、ベッドサイドに椅子を引き寄せて、どっしりとそこに座ったまま、優しく私の手を握って、ちい兄は話を続けた。
普段はあまり言葉数の多いちい兄ではなかったけど、ゆっくり、優しい声で、一つひとつ言葉を紡いでくれた。
三男「Aはちっさい頃から仕事してさ…。兄貴も俺も寮に入って、兄貴なんてプロなってまた離れて…母さんも失って。そんな急いで、大人にならんで…ええんやぞ…」
「っ…大人になんて…」
三男「…十分やで。十分、いろんなこと我慢して…必要以上に頑張って。楽しかったんやろうけど…それはきっと、事実なんやろうけど…ちょっと、早く成長しすぎや」
私だって…甘えたい…。
甘えたい…。
甘えたいよ…。
苦しい…悔しい…悲しい…いろんな気持ちが次々に出てきて、気を抜いたら嫌な気持ちに飲み込まれそうなのが、辛くて。
でも1番は…
「ちい兄…明日も来るの…？」
思った言葉は、出せなかった。
そんな、可愛くない言葉しか出せなかった。
でも、ちい兄は分かったように笑ってんだもん…ずるい。
三男「毎日来るよ。来れない日は連絡する。心配すんな。って…バカ、鼻水つけんな！やめろ、離れろ！」
ごめんね、頼るのが下手くそな妹で。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
