97話 ページ47
【樹】
嘘だと思いたかった。
Aから久しぶりに電話がかかってきたと思ったら、入院することになったって。
それだけ聞いた時には、定期的なもんなのかな、なんて思ったけど、ちゃんと聞いてみたら全然違くて。
完全に俺たちが恐れていたことだった。
初めこそ淡々と話していたAだけど、話を進めれば進めるほど、泣き虫なAが涙を堪え切れるはずもなく、いつの間にか大泣きで、しゃくり上げながら、それでも全部包み隠さず話してくれたA。
「樹…ごめん。あのさ…っ……会えへんかな…？」
これまで頑なに俺らと会おうとはしなかったのに、Aがそんなこと言うもんだから、たまたまオフだった次の日には、もう病院へ足が向いていた。
ずっと、ずっとずっと、会いたくて仕方がなかったんだ。
青「A…来たよ。久しぶり」
「樹ぃ…」
俺の姿を見るなり、ポロポロ涙を流して“ごめんね”と呟くAは、最後に会った時よりも随分大人びていた。
大人びてはいたけど、やっぱり年下の、弱さを隠しきれないAは、昔と変わらずかわいい妹みたいな存在で。
足が残せないことも、まだ何もかもを受け入れられないと泣きながら、苦しそうに俺に話し続ける。
エンドレスに、ずっと、苦しくて、怖くてたまらない気持ちをぶつけてくれた。
普段聞き上手のAが、自分のことをこんなに吐き出すのは本当に珍しくて、再発がわかって、脚を切るしかないと分かって、どんなに追い詰められていたのか伝わってきた。
青「苦しかったな…怖かったよな。ごめんな、そばにいてあげられなくて。無理にでも…っ」
「んーん…。樹に連絡したら…声、聞いたら…っ、甘えちゃうから…。だから、樹にだけは、検査の結果以外は、連絡しないって…」
青「A…」
「でも…っ、無理やった…。助けて、欲しいって…そばにいて、甘えさせて、欲しいって…真っ先に、樹の顔、浮かんで…っ」
Aは新しい仲間を見つけて、ちゃんとその環境に溶け込んでやってるんだと思ってた。
もちろん、それは間違いじゃなかったし、頼もしい仲間がいるんだって事実に安心してた。
でも、今俺の目の前にいるAは…俺を求めてくれた、弱さを見せてくれたAはあまりに小さくて。
本当はずっと、我慢してたんだね。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
