91話 ページ41
【勇人】
“この腫瘍の大きさと、腫瘍のできた場所を考えると…左脚を、残すことは…難しいです…”
突きつけられた現実は、あまりに残酷だった。
隣のAは、それまで黙って聞いていたのに、この言葉を聞いて涙を流した。
静かに…ではない。
珍しく、取り乱していた。
あまりに激しく取り乱して泣き叫ぶAの姿に、一瞬、なにが起こったのか理解ができなくて、そんな妹を、止めることもできなかった。
「なんで！？なんで、なんで脚…脚……っ！ねぇ…先生、なんで！？なぁ、なんでなん…？」
勇人「Aっ！」
「脚、脚だけは、脚だけは残して…っ！ｯﾊｧ…先生、Aっ…ﾊｧ…ﾊｧ病気治して、卒業してっ…ﾊｧｯﾊｧ、そしたらJr.に戻るんやって、ﾊｯ…ﾊｧｯﾊｧ先生も知ってるやろっ！？ﾊｯ…ﾊｧｯﾊｧ…ﾊｯ…ﾊｧｯﾊｧｯﾊｧ…ﾋｭｯ」
勇人「A、Aっ！！」
Dr.「Aちゃん、一回落ち着こう？ね、しっかり呼吸するよ。ね、苦しいね…息、しっかり吐くよ…！」
勇人「危なっ！」
「ﾊｧ…ﾊｯﾊｧｯﾊｧ…ｯﾊｧ…ﾋｭｯ…ﾊｧ…にっ……ﾊｧｯﾊｧちゃ…ﾊｯﾊｧｯﾊｧ…あ、し…ﾊｧ…きり、たく…ﾊｧｯﾊｧ…ﾋｭｯ、ないっ…ﾊｧｯﾊｧｯﾊｧ…ｯﾊｧ…ﾋｭｯ」
Dr.「ごめんね、勇人くん。そのまま…Aちゃん、ちょっと動けないようにしてもらっていいかな。お薬、使わせてもらうね…ごめんね…」
先生たちが処置をしてくれる傍、ギュッと抱きしめてあげることしかできない。
もう、何が何だか見境もつかなくなっているAは、泣き叫んで、ただひたすらに脚を残すことを先生に懇願しては、また呼吸を乱して、苦しそうに泣き続けた。
この脚は、Aにとって大事な脚。
大好きなJr.の活動に戻ることを、もう一度あのステージで思いっきり歌い、踊り続けることを、心のどこかできっと一番大きな目標にしてたんだと思う。
大好きなダンスを、いつまでも続けること。
脚を失うのは、そんなAの描いた未来に直結する大問題。
勇人「A、兄ちゃんいるから…。ちゃんと、兄ちゃんここにいるからな……」
「ﾊｧｯ、ﾊｧｯ…に、ちゃん…ｯﾊｧ…ﾋｭｯ…ﾊｧ…にっ……ちゃ…」
ただ、そばにいるよと、伝えてあげることしかできない自分が、惨めだった。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
