82話 ページ32
家でゆっくり兄ちゃんたちと年を越すのなんて、何年ぶりのことだろう。
去年は家で過ごしてたけど、体力がもたなくて早々に寝てしまったような気がする。
それまでは、小さい頃からいつも先輩たちが勢揃いしている東京ドームのカウントダウンに行ってたから、本当に、こんなふうにゆっくりできるのは、いつぶりだろう。
「兄ちゃんー？これ見とる？テレビ変えてもいいー？」
勇人「ん？えーよ。なに見る？」
「…カウントダウン」
勇人「…っ」
「…なんか…うん。見たいねん」
そっか、なんてニカッと笑って、初めは心配そうだったのに、嬉しそうにチャンネルを変えてくれた。
「うぉう、ビックリした！」
ゆっくり過ごしていたところに、突然鳴り響いた電話の相手は、野球部の同期。
というか、いつもの仲良しトリオ。
関西メンバーで集まって、数日前から3人揃って片寄の実家に泊まってるらしい。
なんとも楽しそうにはしゃぐ彼ら。
数原「なんや、お前今日は東京ドームに行ったんかと思ったわ」
「行かへんよ、チケットないし。てか活動休止中やし。当たったところで呼ばれたところで行かへんよ。あ…でも…見てる」
片寄「なんや。俺は、意地になって見てへんと思った。けど…見れてるんならちょっと安心した」
佐野「ねぇ、はやく〜。2人とも、初詣行くよー！」
数原「お、じゃぁ初詣行ってくるわぁ」
ほんと、寮にいてもいなくても、同期はいつもと変わらず慌ただしいかった。
でもそれはすごく心地よくて、たぶん今の私は、三人の思う壺ってやつなんだと思う。
きっと、三人はこの賑やかさがなくなった時、私が勝手に一人いろんなことを考えることを予測して、心配してくれてたんだろうな。
特に数原は、これまでも何度かそんな姿を見せてきてしまったから。
あの時電話で高地の言ってたことが、少しだけわかった気がした。
勇人「なんか、普段いつもいるとこやのに、ベンチが違って見えるわ」
「こんなにギチギチに詰めて座ることないやろ？笑」
勇人「無理。俺ベンチにこんな人詰まってたら嫌やもん」
ひとつの世界に慣れると、不思議とそれが当たり前に感じてしまう。
Jr.のときは、年末はコンサートや舞台、カウントダウンの見学…全部が当たり前だった。
でも今は、当たり前じゃない。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
