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81話 ページ31

【樹】

青「A、なんて言ってた?」


高地のところに、久しぶりにAから連絡が来たらしいというのは、俺だけじゃなく、仲良かった奴らみんなの間ですぐに回った。

連絡久しぶりにすんの、俺じゃないんだ…ってちょっとだけショックを受けつつも、時期を考えたら、まぁAはそうするのかなって。

あいつが無意識に考えることくらい、一番よく知ってるつもりだった。


黄「相変わらず考えすぎです、あの子は。でも…結局どこにいても、Aはいつだって、必死なんだなって…どこにいても、変わんねえなって思った」

青「なんそれ。わかんね」

黄「テレビでもいいからさ。ちゃんと、俺たちのこと見てくれるといいな…」

青「…見てもらえるように、頑張んだよ」


Aがここから離れた、去年の冬。

あれから1年。

長かったような気もしたし、振り返ってみれば、全然あっという間だった気もする。

流れがあまりに急すぎて、そんな急すぎる流れに、必死にしがみついているようで、ふと気づくと取り残されているような気もして、最近はちょっとしんどい。

正直、めちゃくちゃ迷ってしかない。


黄「あいつ…Aさ。相当迷って…迷って、でも覚悟決めて、そうやって俺に電話かけてきたと思うんだよ。きっとその覚悟って、すげぇ苦しかったと思う…」

青「…だろうね」


本当は怖かった。Aがもうここにな帰ってこないんじゃねえかってことは、それどころか…なんて、最悪なパターンだって何回も考えた。

兄貴も弟も野球やってこともあって、割と自然にAの高校での活動ぶりが入ってきてた。

話を聞けば、写真を見れば、Aが徐々に新しい環境に馴染んでいくのが伝わってきた。

俺が想像してしまった幾つかとは真逆に、ただひたすらに頑張り続けているA。

それが、なぜだか怖かった。


青「俺らは結局…定着できねぇ……」

黄「でも、食らいつくことはできるよ。俺はもう…置いていかれるのはごめんだ」


チャンスを掴みきれないやつは、歯を食いしばれないやつは、その瞬間に、容赦なく置いていかれる。

それは、幼い頃からこの世界をふたつの立場で見てきた俺も、十分承知していた。

あの時“置いていって”と言ったAの過去の言葉が、どれだけ重いか、ようやくわかった気がした。

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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます!2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かん。 | 作成日時:2020年4月23日 22時

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