80話 ページ30
【高地】
年末の、ハードなスケジュールのその合間。
しばらく連絡をとっていなかったAから、久しぶりに連絡が来た。
急な連絡で、しかも普段やり取りをしていたメールではなく、電話だった。
黄「珍しい。樹じゃなくて俺なの？」
「うん、高地なの。…なんか、声聞きたくなったんよ。年末、忙しいのにごめん。ハードやんな、色々」
“ハードやんな、色々”
その言葉を受ければ、今回連絡をするなら、俺か大我だったんだろうとなんとなく察した。
Aが無意識にそうする理由も、ちゃんとわかってる。
Aはそういうやつだ。
周りの、大変そうなやつにいつも目を向ける。
少し大人になったことで、これまでの年末年始とは少し動きが変わった俺と大我。
ほんの少しの変化でも、すごく大きな変化に感じてしまう世界を、きちんと知っているAだから。
黄「あのさ…。しんどくなかったらでいいから…テレビ、見ててくれると嬉しい」
「ん…見る。…あのね、�眞蓮�その…阿部くんとさ」
黄「大丈夫、聞いたから。阿部ちゃんから、全部聞いた。Aが必死に俺らを遠ざけてたことも、一人で悩んでたことも…全部聞いた。ごめんな、なかなか力になってやれなくて。しかも…不安にさせちゃってるし」
「いや…」
一歩部活の世界を出てしまえば、Aの周りには普通の女子高生も溢れているだろう。
もちろん俺たちの世界に、夢や憧れを抱いている子だって大勢いる環境だ。
だからAは、普通の生活に戻ることと、俺たちと同じ世界にいること、その２つをキッパリ切ろうと思ったんだろう。
Aらしいといえば、Aらしい。
黄「きっと、誰もAが思ってるようなことはしないと思うよ。もしそうだとしても、Aには強い味方がいるでしょう？」
「味方…」
俺たちはもちろん、きっと野球部で一緒に頑張っている仲間たちだって、今のAのことをちゃんとわかってるんだと思う。
もしかすると、今のAのことは、彼らの方がきちんと理解をしているのかもしれないけど。
何かあったらもっと周りを頼ればいいんだって、阿部ちゃんを頼って少し前を向くことのできた今回、Aがわかってくれたらいいな…。
そんな気持ちを胸に、電話を切って年末恒例のリハーサルへ向かった。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
