73話 ページ23
【数原】
数原「で、俺には言うんかい」
「だって。数原はなんとなく、まとまってなくても、訳分からんくても、黙って話聞いてくれそうやったから…」
数原「じゃぁお望みどおり、聞くだけな」
そんな掛け合いから始まった、夜の食堂でいつだったかぶりの、Aと2人の話。
Aから聞いた彼女が心に抱えているモヤモヤとした話は、彼女がここにくるまでいた世界の話もあって、それは到底、俺の理解してやれる世界のことではなかった。
俺たちと同じ15年、20年を生きているはずなのに、こいつらはきっと、俺らの何倍も何十倍も濃い時間を過ごしていて、考えられないくらいのスピードでその時間を生きてきたんだろう。
俺らが、これから長い時間をかけて経験することを、たった数年のうちに消化をし続けたんだと思う。
でも、これまで過ごしてきたそんな時間に対するAの捉え方は、俺が考えるのとは少し違ってた。
「普通の学生に戻って、思ってん。別に私たち、特別やないって。ただ少し世界が違うだけで、ここだって同じ。いつメンバーに入るかもしれんし、もちろんその逆もある」
数原「ん…？」
「私正直、一緒にドラマに出るはずやったみんなが、一気に注目されて、怖かったんよ。…忘れられることも、置いていかれることも」
“でも、私の居場所はちゃんと、野球部にあったから”
誇らしそうに、そんなことを言うA。
悩んでたんちゃうんけ、とか思ったりもしたけど、そんな口出せないくらいに、まっすぐ澄んだ目で。
でも、多分これは俺だけじゃなくて、別のやつらもAに対して思ってることなんだろうけど、これだけはどうしても伝えたかった。
数原「お前さ、もうちょっと自分可愛がれよ」
「へ？」
数原「多分そいつらも、今必死に居場所を探してるんだろうけど…お前だってそれは経験したんだから。ただ、見守ってやればいいんじゃねぇの？」
「んー…」
数原「あとな…。ここは、お前が“見つけた”居場所やなくて、“作り上げた”居場所やで。…仲間んことも、信じてやり？」
Aの話を聞く限り、そいつらにとってのこれまでの覚悟って、きっと半端なもんではないと感じたから。
それになにより、俺にはちゃんと、迷っててもAが覚悟を決めてることは伝わってきたから。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
