70話 ページ20
【勇人】
『兄ちゃん、最終日来てくれる？』
練習終わり、喫茶店でゆっくりしてるところにAからそんな電話が来たのは、もうすぐ年末の強化練習だか合宿だかの1週目が終わるという頃。
正直、高校OBの選手や他の父兄も来るもんだから、俺は、最後に帰省の迎えだけ行くつもりだった。
昔からそうだったけど、自分の出る舞台やコンサートだって、あまり俺に来てくれと言うことはないAが、こんな電話をしてくるのは珍しかった。
勇人「Aがそんなこと言うん、珍しいやん。急になんで？」
『んー？えー…だって、今Aめっちゃがんばってるからさ。見てほしいねん、兄ちゃんに。でも…忙しかったら別にええよ』
勇人「ふふっ。帰り、迎えにはいくで？そのままオフはあるから、その日は家帰るんやろ？」
『いや、まぁそうやけど…』
勇人「んー？なにー？それとも、寂しいんか？俺にちょっとでも早く会いたいんか？」
いや、そうじゃなくてさ…と電話の向こうでイジイジしている妹が、なんだかんだ可愛いくて、ちょっといじめたくなるのは許してほしい。
こんな風にからかってはいるけど、俺だってわかってる。
この数ヶ月、まだAが高校生になって、部に入ってから1年さえ経っていないけど、毎月会ってたからわかる。
でもきっとこの数週間は、Aにとって自分でも胸を張れるくらいの成長をしているんだろう。
だからこそ、そんな自分を俺に見せたいってまで思ってくれるのは、本当に嬉しくて。
勇人「ごめんけど、朝からは行けへんわ。俺もトレーニングあって厳しい。でもちょっとでも見れるように、なるべく早めに行くわな」
「え、ほんまに！？ええのん！？」
勇人「いや、あんま期待せんとって？時間読めんし。けどそこまで言われたら、見に行きたいやん」
そういえば、嬉しそうに“絶対やで！”と言って慌ただしく電話を切るA。
そんな俺の前には、樹。
勇人「思春期とはいえ、相変わらずおてんば娘だよ」
青「声、元気そうでよかった…」
勇人「大丈夫、アイツは元気やで。見えへんから不安になることもあるやろけど…今は、アイツんこと信じてやってほしいかな」
この時の俺は、きっとこれからAの状態は良くなっていくもんだと思ってた。
Aも、そして、樹たちも。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
