66話 ページ16
亜嵐「A、ケータイ」
「あ…はい…。すいません」
朝練の時間が早いこともあって、普段からあまり遅い時間までケータイを触っていることはないんだけど、今日はどうしてもその画面から目を離すことができなかった。
普段はあまり使うことのないショートメール。
いつもならメルマガばっかりが面倒くさいほどに溜まっていて、特に中身なんて見ることなくガンガン消すのに…。
そんな鬱陶しいメッセージに紛れた“森本慎太郎”の文字を見つけて、連絡を控えてることなんて忘れて、躊躇いもなくそれを開いた。
亜嵐「なんかあったら、言えって…言ってるだろう」
「はい…」
亜嵐「ま…でも、言いたくないことも、あるわな」
「ふふっ…なんか、お見通しみたい」
亜嵐「どうだろうな」
いくら私自身が気にしないようにしてたって、周りはみんな、彼らに興味を持つ子だってたくさんいる高校生。
部活と寮生活こそ、野球にまみれたみんなとの生活だから忘れられるけど…ふと、一歩そんな世界を出てしまえば、彼らの情報だって耳に入ることもある。
「亜嵐さん、もし…今ここのメンバーが、辞めようと考えていたら…なんて声をかけますか？」
亜嵐「え、なに。お前…辞めたいの？」
「いや、私は全く…」
何も考えずに、グループだと言われればそこで活動をし、気づけば何年も隣にいた子が突然辞めて、中には急に連絡を取れなくなる仲間だっていた。
知らぬ間にグループの名前は消えて、それまで一緒に積み上げてきた思い出も実績も、一瞬にしてまるでなかったことになる。
その繰り返しに、ただついていくだけだったあの頃。
亜嵐「正直俺にはその世界のことはわからないけど…今お前は必死にここで頑張ってる。それは、事実だと思う。俺だって一緒。栄光も挫折も見てきて、悔しいし、正直苦しい。わかんねぇことばっかだし…」
でも、まだ17だし。
そう言ってわたしの頭をポンとひとつ叩いて、亜嵐さんは部屋に戻っていった。
近くにいた人たちから置いていかれることを、幼い頃から経験しすぎてあまりにも敏感だった私たち。
きっとまた、慎太郎は…いや、あの6人はみんな必死で、居心地のいい、こことかまたその場所から置いていかれることを恐れてる。
迷った私は、彼のメールを…見なかったことにした。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
