65話 ページ15
【慎太郎】
この世界にいて、仕事をもらえることのありがたさを痛感する毎日。
これまでと比べれば、苦しいと思ってはいたけど、それでも仕事をもらい続けていた今までが、あまりにも上手くいきすぎてたんだとは思ってる。
けど……
タロ俺、辞めようかな……
気付いたら、あれだけ必死に連絡を絶ったAに、深く考えることなく、ただいまの自分で消化しきれない気持ちを押し付けるかのように、そんなメールを送っていた。
ぶつけるように、半ば投げやりで送ってしまったそのメールを、Aが見てくれたのか、見てないのかはわからない。
というか、その結果をわかりたくないから、あえて既読のつくメッセージを送るのではなく、昔使っていたショートメールにしたのかもしれない。
桃「慎太郎？行くよ」
緑「あ、ん。今行く」
映画の公開までは順調だった。
初めて“こいつらとなら”って思えた、本当に心から一緒に仕事をできて良かったと思えたみんなと、Aが帰ってくるまで、この場所を守り続けるって…どこまでも行けるって。
…そう、思っていた。
でも、それからどうなったっけ…って、自分でもよくわからないまま。
気づいたら、こいむらとなら、と思えたそのメンバーが自分より何歩も先にいるような気がして、自分の周りのメンバーが変わってた。
昔から、これといったグループには入ってなかった俺だから、またこうなっちゃうのか…って少し諦めてるところもあったりして。
緑「…辞めどきなのかな」
思わず口に出してしまったら、急に怖くなった。
正直、あのメンバーとならデビューできるもんだと思ってたし、周りからも言われてたんだ。
でも、それで浮かれてたのかもしれない。
桃「初めて…初めてのグループだから」
緑「え？」
桃「いや、違うか。俺ら、グループではないもんな…だから、こうやって簡単に消えちゃったんだろうな。でも、初めて“仲間”を意識できたんだよ…慎太郎も、そうじゃないの？」
気づけば、先に行ったと思っていた京本っちゃんが隣にいて、戸惑う俺にそんなことを言う。
俺の気持ちは、京本っちゃんの言ってる通り。
初めて期間限定じゃない、しっかりしたグループになれると思った。
やっぱり、望むと離れる。
それが、怖かった。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
