61話 ページ11
【亜嵐】
もうわからない。
どうしたら勝てる？
いや、勝ち進める？
1年の夏からベンチ入りして、全てを野球に注ぎ込んできた。
最強だった先輩たちと戦い抜き、歯食いしばって苦しい時間にも耐えて、その先にあるテッペンからの一番いい景色を見せてもらった。
1年ながら、試合にだって出してもらった。
そう、出してもらった。
本当にそうだ。
亜嵐「なにもできなかった…」
いざ自分が中心となって新チームとして戦っていくとなると、こんなに勝つことが難しかったのかと思う。
次こそはと思った試合にも勝てなくて、でも状態が悪いとも思えなくて、一人ひとりの技術だって、別に何が劣るわけではない。
だからこそ、余計にわからなくて。
ただただ、先輩たちや、ほかの高校の壁が分厚く、圧倒的なものに感じてしまって…また、逃げたくなる。
「亜嵐さん、これ」
亜嵐「ん。いつもサンキュー…」
「…」
新チームになって、葉月さんから受け継いで1人になったマネージャー。
試合のたびに、Aは必ず記録員としてベンチにいてこの情けないキャプテンが先頭に立つチームを、献身的に支えてくれている。
試合のデータを監督と共有し、俺たちにも丁寧にまとめて送ってくれる。
やれることは全部やって、状態が良かろうが悪かろうが、絶対に手を抜くことなんてなくて…Aはそういうやつだ。
亜嵐「ごめんな…」
「なにがですか？…結果は結果です。また、やるしかないです。勝つのはそんなに…簡単なことやない」
って、兄ちゃんが言ってました。と、照れたように付け加えるA。
誰よりも泣き虫で、誰よりも弱虫だと先輩たちは言っていたけど、彼女はそれでいて、誰よりも強かった。
芯に強い何かがあって、どんなに崩れかけても、その芯だけは決して崩すことのない、そんな強さ。
「明日は練習休みです。監督が、帰れないやつは飯連れてってやるからって言ってましたよ」
佐野「あ、いた。A、監督がお前飯行くのー？って…あ、亜嵐さんも」
亜嵐「サンキュ、行く。あとで監督んとこ行ってくるわ」
夏に一回戦で負けたことも、切り替えきれずに春を逃した絶望もデカい。
デカすぎて、耐えきれない悔しさ。
でも、乗り越えて行かなきゃいけない。
いつまでもウジウジはしてられない。
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かん。(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます！2nd seasonもよろしくお願いします(^^) (2020年5月5日 13時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルス流行ってるので気を付けてくださいね (2020年5月5日 12時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2020年4月23日 22時
