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【菊池】
大学生になって、数ヶ月。
初めこそ随分とヤバい選択をしたとも思ったけど、案外慣れたらやっていけるもんで。
…まぁ、思い描いてたほど仕事が舞い込んできていないって現実もあるけど。
そんな毎日の中、俺の頭の片隅に居座る子。
菊池「うぃっす」
「え…なんで…？」
菊池「今日の撮影この近くだったんだよね〜。近くにダチが入院してますって知ってて、来ない選択肢なくない？…つーか、顔色悪すぎ。肌透き通りすぎ。マジ病人みたい」
「…病人なんですけど」
菊池「ふふっ、知ってる。あ…来て、大丈夫だった？」
「そんなの、今さらじゃん。今を…ときめくアイドル、菊池風磨くん、来てくれたのに…追い返すわけにも、いかないし。それこそ、週刊誌に…書かれちゃう…っ、ｹﾎｯ…」
菊池「…無理して明るく振る舞わなくていいから」
シュン…と効果音でもつきそうなくらいにしょげた顔に一瞬で変わってしまうAちゃんの強がりが、俺にはどこか切なくさえ感じてしまった。
あんなに飾らない、天真爛漫な子だったのに。
菊池「辞めてもいいよって、言ったんだって？」
「…優ちゃんに？」
菊池「ん、そう」
「…言った」
菊池「なーんでそんなこと言っちゃうのよ、思ってもないくせに」
「思って…！っ、ｹﾎｯ…」
菊池「バカ…」
“辞めていいよ”なんて言葉、嘘でしかないのに。
ムキになって言い返そうとしてくる時点で、それが間違いなく丸っきりの嘘だってことくらい俺でさえ気づくんだ。
�眞呂�それを簡単に見抜くであろうことなんて、彼女が一番よく知ってるはずなのに。
菊池「そんな言葉伝えてさ。…�眞呂�、そんなことで楽になるとでも思った？」
「…っ」
菊池「…�眞蓮△垢欧Т萃イ辰討襪茵Ｂ進�Aちゃんが思ってる何倍も、何十倍も頑張ってる。…なんでか、わかるっしょ？」
「わかる…けど…っ」
菊池「信じんの、辛くなった？」
「…ちょっと」
菊池「そう、だよな…」
自分にとっても、刺さる言葉だった。
きっとファンの子達って、常にこんな気持ちなんだろうなって。
いつブレイクするのかもわからない、まして、デビューという確かな約束さえもないJr.で…Aちゃんと�眞呂魯侫．鵑肇▲ぅ疋襪辰憧愀犬箸肋�し違うところもあるし、余計に、なんだろう。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年6月12日 19時
