77 ページ27
【優吾】
青「�眞蓮�」
黄「んー？」
青「…これ、俺からの誕プレ」
なんだか恥ずかしそうに目を逸らして樹が差し出した小包は、2つあった。
青「片方は…Aちゃん。もう片方は、�眞呂諒�」
黄「…ふふっ」
青「なんだよ…」
黄「んーん。…すげぇ、嬉しい。ありがと」
小さな包みを片方広げれば、出てきたのはシルバーのブレスレット。
“同じの、入ってる”って、ぶっきらぼうに、少し恥ずかしそうに顔を赤らめた樹の気遣いが、ちょっぴりくすぐったかったけど、すげぇ嬉しかった。
右手にはまたブレスレットは、キラッと輝いて…まだ、なにも諦めてる場合じゃないって、そんなこと思ったんだ。
どうせなら俺も同じの買っちゃえばよかった！なんて笑う樹は、とことん気遣い屋なんだなって。
黄「A」
「…あ、ゆーちゃん」
黄「ごめん、体調悪かった？連絡したらよかったな…」
「んーん…ちょっと、寝てた…。抗がん剤、打った」
黄「…そっか」
「…帰らないでよ？」
黄「ハハッ。帰すなよ、せっかく来たんだから」
“抗がん剤、打った”
その言葉に、ちょうどよかったかな…なんて。
ガサゴソとバッグの中から取り出した、ラッピング。
「なぁに、それ…？」
黄「ん？…開けていいよ」
「…んー？…わぁ！ふふっ…かっこいぃ〜」
黄「そういうのの方が、好きそうだから。ニット帽とか、嫌っしょ？」
「ん、病気の…人、みたいだからね」
黄「ハハッ。病気の人ではあるんだよ、お前」
「ふふっ。かっこいいね、この帽子」
黄「ん。これ被った上からなら、あったかいって」
インナーキャップっていうらしいそれを渡せば、なんかラッパー見たいって笑いながら、嬉しそうにそれも被ってくれるA。
絶対に、失いたくなんかなくて。
黄「それかぶって、乗り切れよ…治療」
「…ん、がんばるね」
黄「あと、これは…樹から」
「へっ、樹くん？」
黄「ん、そ。樹」
俺と同じように目を丸くしてそれを受け取って、丁寧に包みを開いたA。
中身は、俺にくれたのと同じブレスレットの色違い。
「早く、これ着けて…コンサート…行かなきゃ、ね」
黄「ん、待ってる」
先の見えない未来を相手にもがき続ける…そういった意味で俺たちは、同志なのかもなって思ったり…ね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 262人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かん。
| 作成日時：2023年6月12日 19時
