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【樹】
お前渋谷とか庭でしょ？なんて誘ってきた時から、どういうことかと思ってたけど、Aちゃんへの誕プレ探しだって言われて、俺も俄然力が入っちゃって。
色んなもん見ては、あれでもないこれでもないと優柔不断な�眞蓮�
青「そんな悩む？」
黄「んー…ね。なんか、悩んじゃうんだよねー。Aの誕プレはいっつも」
青「ハハッ！ガチやん」
黄「だってさ、俺Aじゃないから。例えば彼女なら、一緒に出かけられるじゃん？一緒に出掛けて…一緒にこうやって色んな商品見てさ。これは？えー、やだよ。とか言ってさ…」
青「…あ、おぉ」
黄「ふはっ！引くな、引くな。あぁ〜…。そうやって、一緒に出掛けて、選べたらいいんだけど…。無理だから。かといって、なに欲しい？って言ったら、多分あいつは何もいらないって、その一点張りだと思うし。けど、やっぱ渡すなら、ちゃんと選んでやりたいじゃん。あいつが、選べない分」
照れくさそうに笑った�眞呂�、ふと思い立ったように頼んできたこと。
“おすすめの帽子屋さん、連れてって”
なんか、そんな�眞呂慮斥佞剖擦�ギュッとした。
なんのための帽子かなんて、聞くだけ野暮だと思った。
きっとそういうことだろうと思うままに、女友達の何人かがよく通うアパレルショップを目指せば、“そうじゃなくて、お前がよく行きそうなとこ”って、俺の被ったキャップを指して笑った�眞蓮�
青「相場はニット帽じゃね？冬じゃねえけど、サマーニット？とか売ってんだろ、この時期でも」
黄「相場だからだよ。…嫌がるからねぇ、A」
青「そうなの？」
黄「ん、そ。パジャマで一日中過ごしてたら病人みたいだもん！とか言って、あいつ入院中俺のお下がりのジャージばっか着てんの。…病人だっつーの、って」
青「ハハッ。…分からんでもないね。病は気から、って言うし」
黄「あ〜、それよく言ってるわ」
結局2人で来たのは、かわいいのカケラもないけど、普段から俺がよく足を運んでるオシャレな方面のアパレルショップ。
普段自分のオシャレには無頓着な�眞呂�すげぇ真剣に選ぶ横顔にさっきの話を思い出して、その姿が、ものすごく羨ましかった。
青「すんません。これ、2つ。プレゼント用で」
心から、幸せでいてほしいって思ったんだ。
2人とも。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年6月12日 19時
