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優ちゃんと、慎ちゃんが来てくれた。
私自身はあんまり覚えてないけど、どうやらしばらく私は眠ってしまっていたらしい。
まぁ、“しばらく”なんていう可愛いもんではないけど。
母「あれ？起きてる。…体調、変わらず？」
「んーん。…ふふっ。今日は、気分、いい」
母「えー？なーんか、いいことあった？」
「…ゆーちゃん、会えた」
母「えーっ！優ちゃん？え、優ちゃん？」
「しーっ！ママ、声大きい」
“優ちゃん”という言葉に、ママがこれほど驚いた意味はよく分からなかったけど、私が眠ってしまってからのことを聞けば、さすがに無理もないとか感じたり。
ママが見せてくれた、その時の優ちゃんからのLINEは、あまりに悲壮感漂うのが文字だけでも伝わってきて、なんだか申し訳なくなった。
それでも、こんなにも自分を想い、ここまで感情を揺らしてくれる人が家族以外にいることに、ほんの少しでも幸せを感じてしまった私は、いつだかもっと子どもだった頃に優ちゃんが言い放った通りの、“バカで能天気で、生きてるだけで丸儲けなやつ”なのかもしれない。
「優ちゃん、そんな風に見えなかった」
母「必死なんでしょ。優ちゃんだって…」
「ん？なに？」
母「ふふっ。いつか、分かる」
「なにそれ〜。…っ、ｹﾎｹﾎｯ、ｹﾎｯ。…ｹﾞﾎｯ、っ」
母「も〜…。ほーら、焦らないの」
優ちゃんとは違う、優しくて、柔らかい手。
どこまでも優しすぎて…背中で、ゆっくり動くその手を感じるたびに、胸がキューっと苦しくて…。
気づいたら、ボロボロ、ボロボロ涙が止まらなくて…同じように、ボロボロ涙を流して、ママが鼻を啜る音なんて、耳に入る隙もないぐらいに、いつの間にか、わんわん声をあげて泣いた。
泣きたかったわけじゃないし、できることなら、ママにこれ以上弱い姿なんて見せたくもなかった。
けど、涙が止まんなかった。
「…っ、ママっ…？」
母「んー？」
「…ﾊｧ、A…っ、生きてて、よか、た…っ」
母「ふふっ。…ん、そうだね。生きてて、よかった。優ちゃん、また会えて…よかったね、A」
「…ママ？っ、ﾊｧ…A…もっと、っ…生きたい…っ！」
もしかしたら、これが初めてだったかもしれない。
ハッキリと、ママの前で…“生きたい”なんて言ったのは。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年6月12日 19時
