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【優吾】
黄「ごめん、送ってくわ」
緑「ハハッ！彼女じゃあるまいし」
黄「でも、大学生がこんな時間まで中学生連れ回して、挙句一人で帰らせるなんてことしたら、なんかあった時に俺が困る」
緑「…んなら、お言葉に甘えて」
思いの外、長居をしてしまったAの病室。
一人ならあのまま面会時間の終わるまで粘ったってよかったけど、慎太郎に付き合ってもらってた手前、あまり長くいるのも申し訳なくて。
そう思って早めに出たつもりが、病院を出てみればもうだいぶ夕方近かった。
バイクで飛ばしてやれないのが申し訳ないけど、ゆっくり二人で歩くなんてことも久々で、それはそれで、なんだか心地いい感じ。
緑「�眞呂機帖�
黄「んー？」
緑「さっき、“ 慎太郎がもし、あのメンバーに期待してたんなら申し訳ないけど…”って言ったじゃん？」
黄「え？あぁ、うん…言ったね」
緑「…期待は、してた。けど…俺も、�眞呂醗貊錙２兇蓮朕�じきれなかった。怖くて。また、どうせ離れてっちゃうんだろうって、どこかで、怖くて…信じられなかった」
裏切られるとか、そんなん思ってたわけじゃないと慌てて否定する慎太郎が、これまでどれだけこの世界で寂しい思いをしてきたのかを表している気がした。
そんなに、頑張って笑わないでって…多分、これを思うのはAに思った以来。
緑「下向いてる時間、もったいないよって…そう言ったじゃん？Aちゃん」
黄「ん？あぁ、さっきな」
緑「カッコいいなって、そう思った。こんな言い方失礼かもしれないけど…。多分、俺らより何倍も、何十倍も理不尽な今生きてるじゃん？それなのに、あんなこと言ってくれるなんて、カッコよかった」
黄「ふふっ…あいつ…」
緑「でも…！俺…カッコいいなって思いはしたけど…自分のこと、カッコ悪いって思ったけど…でも、前向ける気しねえわ」
あいつ喜ぶわ、なんて言おうとした俺の言葉に被せるように、悔しそうに唇を噛んだ慎太郎。
こいつはまだ、高校一年生。
俺なんかとは違って、昔っから将来を期待されてた慎太郎は、いわゆる芸能学校に進学をしたわけで。
そんな慎太郎でさえ、前を向けずにいるんだって…そう思ったら、なんだか少しもやっとして。
そんな今だけど…俺らは、辞める覚悟さえ持たずにいた。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年6月12日 19時
