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【優吾】
Aの目が覚めたと連絡が入ったのは、それから数日後のことだった。
あの日うちから帰る前、絶対俺にも知らせろって念押されたから、風磨にもちゃんと連絡すれば、あいつも心底心配してくれてたみたいで、マジでよかった…なんて、電話の向こうでズルッと力の抜ける音がした。
ただ…。
黄「会いに行くのが、怖え」
どれぐらい悪くなってんのか…。
本人か、それが無理ならAママにに聞けばいいだけなんだろうけど、それすらも怖い。
初めて、大切な人が、本気で目の前からいなくなる…って思ったそれは、思った以上に、俺の心にダメージを与えているらしかった。
けど…。
黄「会いたい気持ちは、あんだよね…」
そんな、わがままな…まだ
でも、ここで勇気出して会いに行かなかったら…マジで、一生会えない…そんな気がした。
いや、そうでも思わないと動けなくて…無理に、脳がそう錯覚させたって言われても、今なら信じるかもしれない。
今だけ、だけど。
緑「あれー？�眞蓮�」
黄「あれ…お前、何してんの…？」
緑「いや、学校行ってきた帰り。…なにしてんの？�眞呂海充蠅屬蕕如�
黄「…やることねぇし、ふらふらしてただけ。別に何も用なんて…な…」
緑「…�眞蓮�」
ふと顔上げたら、そこはAのいる病院で。
行けない、会えない…なんて思ってたけど、やっぱり…“でも会いたい”の後者の方が、強かったのかもしれない。
勝手に、ここに足が向かっていたんだから。
緑「�眞蓮�
黄「ごめん、慎太郎。…ついてきてくんない？」
緑「えっ…」
黄「俺…Aに、会いたい。けど…一人で会う勇気、ないんだよね」
緑「…行こ、�眞蓮�」
“A”って名前を聞いた途端、慎太郎は表情を変えて、俺の手をグッと引いてくれた。
怖いとか、会えないとか、迷いだとか…そんなの全部抜きにして、そんなのグイグイ置いて行ってくれて、ウジウジしてる俺を、止まってるその場から、連れ出してくれるみたいだった。
緑「A…ちゃん…っ？」
「…あれ。慎、ちゃん…？ど、したの…？」
緑「え、あ…いや、こ…こーち…が…」
「…ふふっ、ゅ…ちゃん…ぃる、だ」
やっと聞けた愛おしい声は、すごく頼りなくて…すごく、儚くて…苦しくて…。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年6月12日 19時
