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【慎太郎】
あ、終わった…。
それが、率直な感想だった。
“一旦今日、解散”
大人たちに言われた、あまりに不自然なそんな言葉。
高校生になったばかりだとか、んなこと関係ない。
伊達に、高1にしてすでに芸歴7年とかやってないのよ。
大人たちの雰囲気とか、話してることとか…それに、ジャニーさんがなにを見てるのかとか、振付師さんがホワイトボードに書いてるそれも。
全部全部、小さい頃からこの世界ばかり見てきた俺にとったら、暗示された未来を察するための材料でしかなくて。
それはきっと、俺だけじゃない。
俺よりもずっとこの世界をよく見てきたであろう京本っちゃんも、隣でなんとも言えない表情浮かべてる樹も、それに、“あっち側”に選ばれた、ジェシーだって。
黄「…とりあえず、帰ろうぜ」
緑「っ…」
黄「ここいたって、何かできることあるわけじゃないし。残ってても…しゃーねーだろ」
緑「それは…っ、でもっ！」
黄「…でも？」
なにもできねぇよ、って…そう呟いて下を向いた�眞呂了僂�、俺にはやけに冷酷に見えた。
この通告が、俺たちのこれまでを一気に急減速させるひとつの要因になるなんて、思いたくもなかった。
嫌な予感はしたけど、そんなの信じたくなかった。
緑「せっかく…」
違う。
せっかく、じゃない。
ようやく…だった。
ようやく、本当に心を許せる仲間ができたと思った。
ずっと苦しかった仕事が…嫌で、嫌で仕方のなかった仕事が、コイツらとなら、楽しくて仕方なかった。
ただ、6人でいるのが楽しくて…。
桃「俺も帰る」
緑「京本っちゃん！」
青「…帰ろ、慎太郎」
やだ、なんて…言っちゃダメな雰囲気しかなくて。
結局俺たちは、大人に従うしかない。
“久々、後ろ乗って”
�眞呂�らそんな珍しい誘いが来たのは、その日の夜のことだった。
二つ返事で“行く”って返せば、すぐに家まで迎えにきてくれて、出掛けにママにはなんだかんだ言われたような気がしたけど、それすらも今は受けたくない。
黙って家を飛び出してバイクの後ろに跨がれば、いつかと同じように、嫌なことなんて全部吹っ飛んじゃうくらい、まだ少し冷たい夜風が気持ちよかった。
だから、聞きたくなんかなかった。
黄「やめるかもね、あいつら」
そんな言葉。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年6月12日 19時
