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【優吾】
「今日さ、夜更かししていい？」
黄「ダメだよ、体調、いいわけじゃないっしょ？」
「オールするって言ってんじゃないのに…？」
黄「だーめ。…眠たくなったら、寝るの」
さっきまで、苦しそうにしていた病人とは思えない発言。
まぁ、コイツは昔からそういうやつ。
子どもの時はそんな俺の言葉に対して、無邪気に“それなら、眠くならなかったらいいんだ！”って言い返してきてたんだろうな、とか思ったり。
黄「…ほんとは、ずっと調子悪かったんだろ」
「まぁ…多分、優ちゃん察してる、通り」
黄「1年、くらい？」
「いや、さすがに…あぁ、でも、そうかも…」
黄「高3の終わりから…アイツと別れたくらいから、本当は分かってたんだろ？」
「んーん。ホントに再発って分かったのは…優ちゃんのコンサート行った、あのくらいの時期。…バチが当たったかな。次、再発だったら…もういいかな、なんて思って。ただ、楽しく…楽しく生きて、死ぬことを…さ」
黄「やめろ。…それ以上、言わなくていい」
あの頃、Aがどうにも生き急いでいるように見えて仕方のなかった理由が、Aが、こんなにもボロボロになって、何もかも抱えきれなくなって、ようやく気づいた。
“優ちゃんに、夢託しちゃったんです…私”
あの時、大我にそんなことを言っていたAの、その裏に抱えた“生きる”ことと、反対に向かっていた心も。
“優ちゃん、違う人みたいだった！すごかった！”
必要以上に、目を輝かせていたあの日のことも。
今なら、全部の点と点が繋がる。
「せめて、最後くらい…さ、普通に生きたいって思った。いや、思っちゃったんだよね。普通に、大学行って…普通に、サークルなんか入ったりして。普通に、恋愛して…」
黄「普通に…か…」
「ん、そ。願っちゃったの、あの…半年くらい？でもさ…ダメだった。優ちゃん見たら、ダメだった」
黄「え、俺ぇ？」
「優ちゃん、キラキラしてて…なんか、やる気ない感じでやってたくせに、ステージではすごい一生懸命でさ…そんなん見たら、諦めた生き方してんの、なんか…最低だなって。でも…遅かった…。たった、3ヶ月後。再発、しちゃってた」
夜更かしなんてしないよって言ったけど…。
こんな話聞いちゃったらさ…ほっとけないじゃん。
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作者名：かん。
| 作成日時：2023年6月12日 19時
