助けてって、強いじゃん？ ページ46
【深澤】
“樹、どう？昨日エグかったらしいけど”
…普通に何食わぬ顔して、俺の目の前で仕事してるっつーの。
学生時代の悪友からのメッセージに、ため息ついて頭抱える俺。
パソコン挟んだ向かいの机で、平然と仕事してる…ように見えるのは、その悪友と俺が、ガキんときから可愛がってる後輩。
高校からの付き合いの俺とは違って、本当にガキん時からの付き合いらしい翔太からしたら、放っておけない弟みたいなもんなんだろうけど。
深澤「樹〜？お前、一回休憩してきたら？何時間そっから動かねえつもりだよ」
青「あー…いやぁ。これ、覚えなきゃなんで…！」
深澤「…どれだよ」
これ…って、昔なら生意気にヒラヒラと俺の手の前でその紙揺すってただろうに、スッと差し出すあたり、こいつも社会人なんだよな、なんて当たり前のことが過ぎる。
んで、そんな樹が差し出したのは、確かに後回しにはできないもので。
それ以外も…ちょっと、代わってやれそうにない上に、優先順位の高いものばかり。
つか…顔色悪すぎ。
深澤「…なぁ、樹？30分…や、15分でいいから寝てこい」
青「いや…」
深澤「先輩命令」
青「ふふっ。師匠、それパワハラ公言してんじゃん」
深澤「いいから。…寝てねぇんだろ、ここんとこ」
樹が、ひとり親になって数ヶ月。
30手前にして、最愛の人を亡くして、残された子ども2人を一人で抱えて…不自由させたくないからって、新しい資格取るなんて躍起になって。
家のことも、仕事も、全部全部自分で決めて、自分でこなしてる樹は、どこか危なっかしかった。
あまり周りには見せてないけど、元々体だってそんなに強いわけじゃない樹は、疲労が溜まると体調崩しやすいのも知っていた。
現に、入社当初は慣れない仕事と環境の変化で、頻繁に体壊してたし。
深澤「ほんと…無理だけはすんなって…」
青「んぅ…っ、ｹﾎｯ」
深澤「お前が病院行ってんの、翔太からチクられ済みだっつーの」
パチンと小さくデコピンしても、スースーと漏れる可愛らしい寝息は止まることなくて。
どんだけ寝れてねえんだよ…なんて。
時折、可愛らしいその音に混じる嫌な音が、ひどくならないことだけ願って、10分後にセットされてたアラームは、止めた。
もう今だけは、思う存分休んで欲しかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 541人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かん。(プロフ) - 黒loveさん» リクエストいただきありがとうございました！お待たせいたしました、短編集��にてお話完結となります。ありがとうございました！ (10月29日 15時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
佑妃奈(プロフ) - かん。さん» 書いて下さりありがとうございます!!これからも応援してます😊 (9月21日 21時) (レス) id: 560bd373a9 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - 佑妃奈さん» リクエストいただきありがとうございました☺︎イメージ通りにできていますでしょうか…？お楽しみいただけていたら嬉しいです！いつも応援していただけて感謝しております！これからもよろしくお願いします！ (9月20日 0時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ちぃぷーさん» リクエストいただき、ありがとうございました！都合により、一旦パパに振ってしまいましたが、この後別のリクエストでこのお話を引き継いで佐久間くんに登場してもらう予定なので、ぜひそちらも引き続きよろしくお願いします！ (8月31日 12時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
黒love - いつも見てます!リクエスト失礼します。ほっくんが髄膜炎の治療中の話が見たいです。お願いします (7月25日 19時) (レス) id: 247892270a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かん。
| 作成日時：2023年5月18日 12時
