どんな明日も… (ページ9)

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【優吾】

“家は変わらず3軒隣”

卒業する時、あんな風にAに言ったくせして4月になってからの俺たちはすれ違いが増えていた。

学校というのはすごいもので。

意図せずとも、とりあえず行きゃ同じ空間で、同じ時間を過ごせるわけ。

12年…いや、幼稚園から考えれば15年もそんな環境にいながら、当たり前すぎて気づかなかったことのひとつ。

ま、アイツ…入院してて学校いない期間あったけど。

黄「あれ…まだ帰ってねえのかよ」

大学生というのは、学部にもよるとはいえおれの場合はさほど忙しくなかったみたいで。

卑屈になっているわけではないけど、冷静な分析…なんてカッコつければ、正味、今必要とされているのは“バカレア組”であって、“髙地優吾”ではなかった。

中高生と活動を共にしている俺は、彼らが学校に行っている間に仕事の入ることはほとんどなくて。

と、いうことは、部活やサークルにも入らず、アルバイトもしてないから、授業がなければほとんどすることなんてなかった。

黄「おっ…。あぁ〜、おぉ…。なるほど…」

コンビニでも行こうかと家を出て数分。

アイツの好きなアイスを前に、一個買ってってやろうかと思って外見た時に見えた、長身の優しそうな男の人と歩くAの姿。

そっとアイスをケースに戻して、ちょっと暇つぶし。

緑「ねぇねぇねぇ、髙地こん中だったらどの子が一番タイプー？」

黄「えー？なにぃー？」

青「ぜってーこの子だって。あぁ〜、でも髙地はこっちの子の方が好きそうだな〜。なぁ、北斗？」

黒「えー？もう、俺を巻き込むなよ〜」

現場に行けば、雑誌広げてワーワー楽しそうに好みのタイプなんてくっちゃべってるアイツらがいて。

この子は見た目からしてあざとそうだとか、あざとい女の子こそが正義だとか、それぞれの持論を並べては盛り上がるのが、少し前まで身を置いていた学校のよう。

青「え、だってお前らだって好きな女の子の前ならカッコつけるべ？俺のために頑張って可愛く見せようとしてくれんの、可愛くね？どうよ、髙地」

黄「俺は〜…。あれだよ、あれ。なんかもっとサラッとした女の子の方がいいわ」

サラッとした女の子。

どんなだよ、って他の奴らには突っ込まれたけど。

あぁ、北斗だけはこっち見て少しニヤついてたっけ。