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【風磨】
わかりやすく動揺するAちゃんと、下手なこと口走って内心動揺しかしてないのに、それでも必死に普段通りを装う、ダサい俺。
「じょ…だん…」
菊池「冗談だと思います？」
「おもう、よ…」
菊池「だってAちゃん、俺なら下手なことしないからって…さっきそう言ったでしょ？」
屁理屈だって思う？
でも俺は…なんだかんだ理由をつけて、遠回りして、いつの間にか“アイドル”である�眞呂靴�見られなくなっちゃったAちゃんの方が、よっぽど屁理屈叩いてると思ってるんだ。
本当は、なにもかも分かってるくせに。
「こんなことなら…履歴書なんか、送んなきゃよかった」
菊池「そしたら俺ら、友達になれてないんすけど？」
「ふふっ…。それは…寂しい、ね」
菊池「だろ？」
なんだよ、やっぱりベタ惚れじゃん…なんて口走ったら、きっとこの細い腕が折れそうな勢いでぶん殴ってきそうなAちゃん。
ひとつ年上なのになぜだか放っておけなくて、守りたいとか、そんなんじゃないけど、いつしか消えてしまいそうな儚さを、どうにか同じ世界に繋ぎ止めておきたい存在。
彼女が歩んできた道のりゆえ、なのか。
菊池「つか…なんで、送ったの？�眞呂陵�歴書」
俺は自分で送ったタチだから、正直誰かにそんな風に思わせる�眞呂里海箸髻△垢欧┐福弔覆鵑道廚辰燭蠅發靴討燭錣韻如�
送った張本人であるAちゃんに、いつか聞いてみたかったこと。
今なら、話してくれる気がして。
「…生きた証を、残して欲しかった」
菊池「アイツが？」
「んーん。…わたしが生きた証を、優ちゃんに…残して欲しかった」
幼い頃から、俺たちなんかよりもずっと、すぐそばにその恐怖がいたというAちゃん。
何度も何度も、そんな淵に立つたび彼女の思った“親孝行ひとつできずに、なんの恩返しもできずに死ぬなんて、絶対に嫌だ”って気持ち。
「いい言い方をすれば、優ちゃんに夢を託した。でも…こんなのただ…利用しただけ。その上、こんなことなら…って。ふふっ…最低っしょ？」
菊池「悪女だな」
「もうっ！…でも、自慢の幼馴染なの。天国でも…自慢したかったの。“すごいでしょ、わたしの幼馴染”って…」
ただそれだけなんだと呟いたAちゃんの声が、切なくて…歯痒かった。
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作者名：かん。
| 作成日時：2022年11月4日 20時
