どんな明日も… (ページ4)

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【優吾】

思いがけず、歯車がまた回り始めたのはこの頃。

“ドラマの話が来てる”

稽古の合間、マネージャーに呼ばれて集められた6人。

森本慎太郎

松村北斗

京本大我

田中樹

ルイス・ジェシー

それに、俺。

春から始まる深夜ドラマへの抜擢だった。

なんでこの6人だったのかもわかんないし、なんで自分が抜擢されたのかもわかんない。

けど、なんとなくここに、その選ばれた6人の中に北斗がいたことに、やけに安心している俺がいた。

黄「ドラマか…」

母「ただいまぐらい言いなさい」

黄「あぁ、ただいま。…Aん家行ってくる」

もうすぐご飯なんだけど！？っていう母さんの言葉を背中に受けながら、フラフラと向かうのは3件お隣の家。

庭の家庭菜園で夕飯に使う何か採っていたAの母ちゃんも、“Aなら部屋にいるよ〜”なんて慣れたもの。

なんとなく、Aに話したかった。

…んだけど。

黄「Aママ！上来てっ！A、おかしい！」

いつも通りにAん家の玄関開けてすぐ横の階段登って手前からふたつ目の部屋。

ノックすれば、いつもなら勝手に入れだの、今は無理だなと何かしら返事が来るのに今日はやけに静かで、物音ひとつしない部屋。

昼寝でもしてんのかと思ってそっと扉を開ければ、苦しそうにハァハァと忙しない呼吸を繰り返すA。

黄「A？A、聞こえるー？」

「ﾊｧｯ、ｴﾎｯ…ｹﾞﾎｯｹﾞﾎ、ﾊｧｯ、ゆ、ちゃ…？」

黄「ん、聞こえてるね。ゆっくり呼吸できる？」

「ﾊｧｯ、い…たいっ…ﾊｧｯ」

黄「だーいじょうぶ。大丈夫だから」

俺の慌てた声に、すぐに部屋に来てくれたAの母ちゃんは、慣れた手つきでなんかよくわかんない機械いじってて不安になる俺。

そんな俺を見て、“慌てすぎ”ってちょっと笑うAママは、こんな状況を何度も何度も目の当たりにしてしてきたんだろうか…。

「ごめ…っ、ﾊｧｯ、も、だいじょぶ…ﾊｧｯ」

黄「びっくりしたわ…」

“今も時々ね…”って、Aママはさっきと違う貼り付けたような顔で笑って部屋を出た。

多分俺がなんとなくでも仕事続けてられるのは、こうやって真っ直ぐに闘いながら生きる幼なじみが、すぐそばにいるから。

コイツが少しでも笑ってくれんなら、俺は…。