【185】JURI ページ35
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“ちゃんと彼女と向き合ってあげて！”
新年明けて、お世話になってた翔太くんところ出て。
Aも無事に再入院になったりすることなく、新学期はスタートから学校にも通えそうだった。
慎太郎はゆっちゃんと平和にこれまで通りだし、Aと北斗は言うまでもなく。
つまりは、ゴタゴタ荒れて穏やかじゃねぇのは俺だけで。
北「なーんでその相談相手が俺なんだよ」
樹「だってなんか、俺の周りで一番頭いいのお前だし。てかなんか悪知恵も働きそうだし、なんとなく」
北「褒めてんだか誉めてないんだか、よくわかんないのやめてもらっていい？それに、恋愛のこと俺に聞くのはどう考えても間違ってると思うけど」
樹「恋愛ねぇ…」
迂闊に手を出すからそうなるんだって北斗は言うけど、俺だって別に迂闊に手を出したわけでもなければ、本当に好きだったんだ。
実際、あのことがあるまでは、それなりに上手くやってたつもりだったんだから。
北「やっぱさ。…話すしかないんじゃない？ちゃんと、俺らの関係が特別なんだってこと」
樹「だよなぁ…」
北「たかが幼馴染、されど幼馴染。じゃん？俺ら。なにが一番大事かって、やっぱ人それぞれ違うじゃん。でも、守りたかったら…伝えなきゃ、大事にはしてもらえないよ」
樹「ごもっともです」
ごもっともなんだけど、自信がなかった。
というか、否定されるのが怖かった。
自分の大切なものが、貫きたいそれが、受け入れられないことに不安を感じてた。
北「樹、聖域って言ったじゃん？俺らの関係。ちゃんと話して、受け入れて、その聖域の中に入れられるって思ったら、それが多分…樹の選ぶ人なんじゃないかな」
もちろん、そこからいつかその相手が自ら出ていく可能性はあるけどって笑う北斗。
その時はその時じゃない？って、なかなかに北斗らしくない言葉も一緒に並べて。
樹「お前、そんな楽観的だったっけ」
北「俺ぇ？んなわけないじゃん。全部、Aの受け売りだよ。あとは、慎太郎の経験談？」
樹「慎太郎？」
北「ゆっちゃんは聖域の内側に入れたいって直感で思ったから、何もかも包み隠さず曝け出したんだってさ」
慎太郎っぽいよね、って笑う北斗。
ほんと、その通り。
案外、一番チキンなのは俺。
俺にも、一歩踏み出せるだろうか。
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作者名：かん。
| 作成日時：2022年4月18日 12時
