いつも僕らは-4- (ページ4)

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【154】SHINTARO ページ4

Aは、あの日のことを“気にしてないから別にいい”なんて、あっけらかんと言い放った。

でも、Aがどれだけあいつらのことを許そうと、俺は許せなかった。

“たろのこと、ダシに使ったことだけは許さない。けど、私がどうとかはどうでもいいし、衝突する気もない”

Aの言ったその言葉が全てだった。

俺だってそう。

慎「…全部話してもらっていい？」

『…』

慎「あっそ。ならもう、俺たちだけじゃどうしようもないな。あとは大人の出番だから。警察にでも行く？立派な傷害事件…いや、殺人未遂だと思うけど？」

俺がこういうことしたら、また反感買ってAに何かあったらって思わないわけじゃない。

思わないわけじゃないから、保険をかけた。

北山「慎太郎」

慎「…あとは、お願いします。もうこれ、2回目だから。さすがに俺も黙ってらんないんで」

北山「ん。あとは大人に任せろ。…さ、仲間集めといきますか」

Aが撮られた動画。

声は全部入ってる。

顔は映ってなくても、その辺ほっついてる大人には分からなくても、同じ高校の同級生ならわかる証拠を、ありがたくも自ら提出してくれたようなもんだ。

1人分かれば十分。

あとは芋づる式に出てくるから、って言ってくれた北山の言葉を信じた。

「なんもしなくていいって言ったじゃん」

慎「…別に。Aのためじゃない。俺が、勝手に名前使われたのムカついただけ。Aだってそれにはムカついてたんだったら、俺が代わりにどうにかしといたからいいっしょ」

「意味わかんない」

慎「別にさ…なにもかも真正面からぶつかる必要はないと思うよ。Aがそれでいいならいい。し、余計傷つくんだったら、しなくていいと思う。けど…俺は、許せなかったから、大人に手伝ってもらった。そんだけ」

「…ん」

慎「俺の腹の虫抑えるためだし。な？」

それだけは伝えたかった。

別に利害関係で一緒にいるような仲じゃない。

チビん時から、4人の中で一番喧嘩したのは俺とA。

お互いが、お互いを大事だから、すれ違うとも、納得いかないこともいっぱいあった。

Aは、ぶつかるべき時を知ってるやつだった。

今はぶつかる恐怖が勝っちゃうから下手くそだけど…またいつか、ちゃんとそれを見極められる時が来るように…。