【171】SHINTARO ページ21
幼馴染の誰とも過ごさないクリスマス。
その代わり、今年は…
『ごめん、慎ちゃん。お待たせ』
慎「ふふっ。うん、大丈夫。俺が早く来すぎた」
Aの親友、ゆっちゃん…俺の彼女、ゆっちゃんと過ごすクリスマス。
まだ高校生だし、そんな洒落たデートをするわけじゃないけど、それでも少し緊張はしてて。
“ゆっちゃん！25日、空けといて！”
2学期最後の日、でっけえ声でそう呼び止めて、恥ずかしそうに俺の方へ駆け寄ってきたゆっちゃんに、そのまま告白をした。
好きとか、愛とかそんな難しいことよくわかんなかったけど、いつの間にかゆっちゃんのことが、なんとなく他の女の子と違って見えた。
樹や北斗には勘付かれていたけど、肝心の俺がそんなだから、2人は笑って“それが好きってことなんじゃん”って。
柚「なに？なに笑ってるの？」
慎「んーん。いや…好きなんだなぁって、ゆっちゃんのことが」
柚「ちょ、っ…急にビックリするじゃん」
慎「ハハッ。ごめん、慣れてなくて。でも、思ったことはすぐ伝えたいからさ〜」
俺って、そういうタイプ。
思ったら口に出さなきゃ気が済まなくて。
だから、あの時も我慢できなくて、アイツらに正面からぶつかった。
そんな俺のことをゆっちゃんは“熱くて真っ直ぐなのが、慎ちゃんのいいところ”って言ってくれた。
柚「あ、ねぇ。そういえば、他の3人大丈夫だったの？A、退院できたんじゃなかった？」
慎「あぁ、退院っていうか…外泊ってやつ？今日だけ。だから、Aと北斗は一緒にいるし、樹も…あ、、」
柚「…！ふふっ、Aは松村くんと一緒か。よかった」
慎「あ、あの〜…ゆっちゃん？その…」
柚「なにも聞いてないよ？」
慎「あ、えっ…ははっ、うん！俺もなにも言ってない！」
慎ちゃんは言ったじゃん、ポロッと！ってケラケラ笑ってる、察しのいいゆっちゃんが好き。
いつも誰かを思って、誰かのためにとことんまで寄り添える、そんなゆっちゃんが好き。
慎「今日さ、ちょっと遅くなってもいい？」
柚「ん？大丈夫だよ？」
慎「…イルミネーション、見に行かない？」
柚「行くっ！」
無邪気に笑って喜ぶゆっちゃんの冷たい手は、思っていたよりもずっと小さかった。
楽しそうに笑う彼女を見てんのが、幸せだった。
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作者名：かん。
| 作成日時：2022年4月18日 12時
