いつも僕らは-4- (ページ19)

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【169】SHOTA ページ19

河合「…俺も笑いそうだよ」

翔太「…ものすごい執念ですね」

俺と河合先生がなにに笑ってるって、Aの検査結果。

もう執念でしかないよね…ってぐらい、あれだけ落ち着かなかった体調ではしばらく家に帰れないんじゃないかと思ったけど、検査の結果は思ったよりよくて。

“絶対冬休みの間に帰るから！”

どんなに体調が悪くても、毎日おまじないみたいにそう言い続けたA。

許容範囲ではあったものの、副作用が強くて一時は薬を変えることも検討していたのに、別の薬にして効かなかった時が嫌だと泣き言なんて一切言わず、頑張った結果。

「ほんとに！？」

河合「はい。よく頑張りました」

「わぁ！すごい、よくなってる！あのお薬、本当にすごいんだね！」

河合「薬はすごいけど、Aが頑張ったからです。これならお薬の量減らせそうだから、退院して様子見よう。明後日…午後で」

河合先生の言葉に、顔にも態度にも表れるほどにウキウキのA。

俺が思っていた以上に、Aはそれを望んでいたのかもしれないって思ったらあまりに健気だった。

そんな気持ち、俺じゃ想像もつかねえよ。

「お兄なんでそんな苦い顔してんの？」

翔太「してない」

「ふふっ。ん、まいっか。明後日、北と映画見に行ってもいい？ずーっと見たかったシリーズの映画、冬休み入る時からやってんのに、退院するの待っててくれたから」

翔太「ん。行っておいで」

“まだ行けるか分からないけどね〜”って笑ってるAを見て、北斗を思う。

Aももちろんそうだけど、一緒に我慢して、弱音吐かずに寄り添ってくれる北斗の存在は、Aにとって本当に大きいと思う。

河合「会いたいって思った時に、会いたいって思った人に会いたい」

翔太「え？」

河合「いやさ。…これ、Aが言ったの。何でそんなに1週間にこだわるの？って聞いた時に」

翔太「それが、どうその期限と？」

河合「本当は、1週間…とは思ってなかったと思う。本人もわかってたと思うんだよね、こういう結果になるって。ほら…クリスマス。きっとその日は、いろんな人に会いたくなっちゃうと思うからって。そう言ってた」

“ごめんね、Aのこといっぱい我慢させて”って小さな声でそう言った河合先生の目は、ちょっとだけ赤かった。