いつも僕らは-4- (ページ16)

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【166】SHOTA ページ16

翔太「お〜、樹さんきゅ。助かったわ」

樹「このぐらい、お安いごよう〜」

樹がうちで暮らすようになって2週間。

冬休みに突入したこともあって、バイト以外の時間で家のことをしてくれて、Aのいない今めちゃくちゃありがたい。

そんなことしなくていいって言っても、タダで泊めてもらってるし！って。

その方が樹の気が楽ならってお願いすれば、俺よりAより丁寧に家の掃除やらしてくれて大助かりだ。

樹「A、どうだった？退院できそう？」

翔太「んー、今日の様子だとしんどいかもって。本人もどこかで分かってんじゃないかな…ま、認めてないけど」

樹「分かってるけど…それでも最後まで可能性は信じるって？」

翔太「そんなとこだなー。てかお前、彼女とかいねえの？冬休み、こんなとこいて大丈夫か？」

樹「っ！ｹﾞﾎｯ」

俺の言葉に分かりやすく動揺する樹がなんか面白くて。

あーあー、なんて揶揄ってみれば、昼間俺が仕事に行ってる間に時々会ったんだとか。

コイツもコイツで、色々抱えながらも自分の人生ちゃんと楽しんでんだなって思ったら、なんか嬉しくなって。

樹「翔太くんこそ…いい人いないの？」

翔太「ええっ？俺ぇ…はぁ…」

樹「…余計なお世話だと思うけど、Aのことに必死んなって、そういう機会逃すの、あいつ一番嫌がるよ」

翔太「ははっ…。うん…分かってる」

樹「俺さ、その…ちょっと受け入れんのには時間かかっちゃったけど、嬉しかったんだよね。母ちゃんが、また、母ちゃんの幸せを探して…ちゃんと今幸せそうなのが」

そう話す樹の横顔は、俺の知っている彼よりもちょっぴり大人で、いつの間にか考え方も変わってきたんだろうなって。

お前も今…結構幸せそうな顔してるよ、樹。

たださ…

翔太「今は、いいかな。俺は。…今は、どんなにAが嫌がったって、俺はAに全部尽くしたいんだ。あいつが、ちゃんと“愛情”を知れるまでは…他の人にそれを注いでる余裕、ねぇんだ」

だせぇ？って自嘲気味に樹に聞いてみれば、ニヤッと笑って、カッケェって。

片側だけ口角上げて笑う癖が、ちっちゃい時から変わんなくて、ちょっと生意気な弟みたいなコイツが愛おしい。

翔太「お前も妹生まれりゃ、わかるよ」

樹の横顔は、やっぱり幸せそうだった。