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【渡辺】
Aは、ゆっくりと落ちていく骨髄を、ただ静かに見つめていた。
ハァハァと落ち着かない呼吸は最後まで続いていたけど、ちゃんと移植を受けられる体になるまで、一切弱音を吐かずに頑張ってくれたA。
骨髄を繋ぐ前、そのパックに触れたAは、“しょっぴー、あったかいね”って言って、一筋涙を流した。
ポロポロ、ポロポロ涙が続いて、それ以上なにも話すことはなかった。
渡辺「気持ち悪くない？」
「ん…だいじょぉぶ…ｯﾊｧ」
気づけば最初に移植に踏み切ると決まってから、もう2ヶ月近くが経っていた。
この2ヶ月俺らもAも、ずーっと待ち望んだ移植だから、失敗するわけにはいかない。
岩本「ちょっと熱上がってきたな」
渡辺「このぐらいなら…クーリングでいけそう？」
岩本「んだね。…Aー、頭冷たいの入れよっか」
氷枕を敷いてやれば、ちょっと表情が和らいだような気がして、安心したのか照も久しぶりに、優しい顔をしている。
ふと頭を撫でると、嬉しそうにこっちを向くA。
渡辺「今日はちゃんとAのそばにいるよ。パパが来たら、パパにもお話しするからね」
「へへっ…ｯﾊｧ」
岩本「疲れちゃうから、おしゃべりストーップ」
それから、ゆっくりゆっくりAの体に入っていった優吾の骨髄は、無事に必要量に到達した。
大変なのは今からだって、支えなきゃいけないのはこれからだって、看護師としてそんなのは当たり前にわかってるけど…。
涙が止まらなかった。
患児のいる前で泣くなんて、許されたことじゃないのかも知んないけど、堪えられなかった。
岩本「翔太」
渡辺「ごめっ…わかっ、わかってっけど…っ」
岩本「よかったな…」
落ち着いて眠っているAに目を向けるほどに涙が溢れてきて、どこまでもAを特別に思ってしまう自分を、看護師失格だなぁなんて嘲笑ってみる。
初めて担当した患児で、かわいい後輩の娘で、誰よりも思い入れがあるのは、きっとこの仕事をする者としては間違ってる。
人に差をつけるなんて、しちゃいけないって…特別扱いはしたらダメだって、表面では思ってるけど…。
渡辺「今日だけ…今日だけは…“しょーちゃん”でいさせてくれな…」
B型だったAは今日、優吾と同じA型に生まれ変わった。
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かん。(プロフ) - はなさん» コメントありがとうございます！一番好きと言っていただけて、嬉しい限りです(;_;)移行先でも、お楽しみいただければ幸いです！これからも、作品ともども、よろしくお願いいたします(^^) (2021年9月11日 1時) (
レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - いつも素敵なお話ありがとうございます^_^占ツクの中で一番好きなお話です！看病系のお話が好きで、主人公ちゃんの体調不良のお話を書いていただけてとても嬉しいです。ストーリーも感動する内容が多くて、本当に主様の作品のファンです！これからも楽しみにしてます！ (2021年9月9日 22時) (レス) id: 0623cd8dfd (このIDを非表示/違反報告)
佑妃奈(プロフ) - サルコイドーシスはじめて聞きました。調べてみたら全身？に症状が出る病気みたいで心配です。 (2021年9月8日 7時) (レス) id: f264ee5bd6 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - 佑妃奈さん» いつもコメントありがとうございます！少し物語が動きますが、またゆっくりお待ちいただけたら嬉しいです＾＾ (2021年9月8日 0時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
佑妃奈(プロフ) - 北斗くん何があったか気になります｡ (2021年9月7日 21時) (レス) id: f264ee5bd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2021年7月4日 12時
