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【樹】
兄貴が適合者になって、検査や調整といった準備が、加速して進められていく。
その度に優吾は仕事を休んでくれたり、本当に俺たち家族のために尽くしてくれていて、自分が適合しなかった悔しさ以上に、優吾への感謝しかない。
黄「だって、俺はお前らの家族じゃん？」
そう言って、当たり前のように、躊躇うことなくAを助けるために動いてくれる兄貴。
移植に踏み切る少し前から、Aは体調が安定せずに無菌室で過ごしていて、最近では専ら、受話器越しにしか会話ができていない。
北斗は毎日、仕事を終えると病院へ向かって、面会が許される限りはAのところへいて、悔しさを抱えているなりに、向き合っていた。
A本人はといえば、そろそろ前処置に移れるかと思えば、体調が安定しなくて延期…その繰り返しだった。
青「ごめん…何回も…」
黄「なーに。なんで謝んの。Aがマイペースなのなんて、いつものことじゃない」
青「いや、そうだけど…や、そうじゃないけど…」
黄「俺、ちょっとやそっとの覚悟で…安い正義感なんかで、Aを助けようなんて思ってねぇから」
安心しなって、俺の肩をポンポンと叩いて優しい目をする優吾は、いつだって頼れる兄貴で、こんないい歳になっても、変わらない。
俺も、もちろん検査は受けた。
でも、適合はしなかった。
周りのみんなが、ほんの少しでも可能性があるならって、骨髄を調べてくれた。
師匠も、あべべも、ジェシーも…きょもや、慎太郎も検査を受けてくれた中で、唯一適合をした優吾。
黄「溜めてたんだろうな、ここまで…運を」
青「え？」
黄「俺、運使うような場面では…いっつもお前に及ばなかったからな」
“当たり付きのアイスが当たって、2本目をもらいに行くのは、いつも樹”
羨ましそうに、2本目を頬張る俺を睨む、まだ幼い優吾が思い浮かんだ。
“母ちゃんに叱られるのは、いつも俺”
でも父ちゃんは、俺にばっかり怒ってたよ。
“一生で一人だけ好きになった女は、弟の嫁になった”
それは…俺だって、男だから譲れないに決まってる。
黄「今回ぐらい、とことんまで俺にカッコつけさせろよな」
兄貴は、いつもの弾ける笑顔で、俺にピースサインを向けた。
俺はそんな兄貴に、ただただ、深く頭を下げた。
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いちご(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年7月18日 16時) (
レス) id: e02ec1dba7 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - あやかさん» コメントいただきありがとうございます！移行先では、いよいよ移植に踏み切ります…また楽しみにしていただけるように、頑張ります！移行先でもよろしくお願いします♪ (2021年7月5日 0時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 主人公ちゃんが元気になるように、手術が上手く行きますように...と毎話読む度に願ってます。続き、楽しみにしています！ (2021年7月3日 22時) (レス) id: 4008fd041a (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ゆいさん» コメントいただき、ありがとうございます！今後の展開も、ぜひお楽しみいただけるよう、頑張って更新していきます！ (2021年6月27日 19時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ルールがあっても、それでも北斗が最愛の妹を救う未来を夢見てしかたないです。これからお話どうなっていくか、楽しみです！ (2021年6月26日 13時) (レス) id: 3cf7c41044 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2021年5月16日 17時
