147 ページ47
【北斗】
無理だってことは、分かってる。
というか、いくら確率が高いとはいえ、確率は1/4…高くても、1/3程度のことだ。
裏を返せば、合わない確率の方が幾分か高いことには違いない。
それならいっそ。
適合しませんでした。
だから、あなたの骨髄は移植できません…。
その方が、よっぽどマシだと思った。
“北斗に万が一のことがあったら、Aだって助かっても嬉しくないと思う”
半ば無理やり納得させられるように告げられた、色んな人からの、同じような言葉。
でも、この人は違った。
中島「悔しかった…？それとも、悲しかった？」
俺の、素直な思いを…全部、受け止めようとしてくれていて、気づいたら、ポロポロと、自分の口から言葉が溢れていた。
悔しい。
でも、別に悲しいわけじゃない。
たった一人の大切な妹の命ひとつ救ってやることのできない自分が、情けなくて仕方がないんだ。
黒「先生、俺ね…Aのことが、大事なんです…」
中島「うん…大事なんだね、Aちゃんのことが」
黒「頑張ってるのを、ずっと見てきてたから」
中島「ずーっと、そばで見守ってたんだもんね」
決して上手ではない俺の言葉を、一つひとつ受け止めてくれる中島先生。
先生が丁寧に紡いでくれる言葉は、俺心にストンと落ちてきて、グチャグチャだった自分の心が、少しだけ綺麗になっていくような、そんな気がした。
黒「でも俺…自分が、そうだったから、分かるんですよね…」
中島「分かるって、何が？」
黒「自分に何かあった時…自分以上に、苦しむ人が…いること」
中島「そっか…。分かってるからこそ、色々考えちゃうんだ」
考えてもいいんだよって、俺の今を優しく包み込んでくれる先生の言葉が、たまらなく俺の心に沁みて、ダサいぐらいに泣いていた。
そんな俺を、受け止めてはくれるけど、やっぱりその道のプロである先生は、俺に現実も見せてくる。
でもそれは、何故だかすんなり俺の胸に入ってきて、足掻くことのできない、この情けない現実を、何とか噛み砕くことができた。
中島「北斗くんは、北斗くんのできる限りの方法で」
中島先生は、その方法を一緒に考えようと言ってくれた。
こんなにも人に寄り添ってもらえることが嬉しいことだなんて、今、ようやく気づいたように思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 842人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちご(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年7月18日 16時) (
レス) id: e02ec1dba7 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - あやかさん» コメントいただきありがとうございます！移行先では、いよいよ移植に踏み切ります…また楽しみにしていただけるように、頑張ります！移行先でもよろしくお願いします♪ (2021年7月5日 0時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 主人公ちゃんが元気になるように、手術が上手く行きますように...と毎話読む度に願ってます。続き、楽しみにしています！ (2021年7月3日 22時) (レス) id: 4008fd041a (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ゆいさん» コメントいただき、ありがとうございます！今後の展開も、ぜひお楽しみいただけるよう、頑張って更新していきます！ (2021年6月27日 19時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ルールがあっても、それでも北斗が最愛の妹を救う未来を夢見てしかたないです。これからお話どうなっていくか、楽しみです！ (2021年6月26日 13時) (レス) id: 3cf7c41044 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かん。
| 作成日時：2021年5月16日 17時
