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【北斗】
「ゲホッ…うえっ、ｹﾎｹﾎｯ…ゲホッ…」
黒「ん。そうそう、上手。…もう大丈夫？」
「んっ…ﾊｧｯ…っ」
黒「おぉ、ごめんごめん。まだ出るな…」
抗がん剤の副作用が、いつもより酷くてグッタリしているAは、数時間かけて、ようやく少しだけ落ち着いてきた。
抗がん剤の治療も、もう何度も繰り返してるんだけど、俺もA本人も、全く慣れることはない。
黒「あ、そうだ。A〜、父さんから聞いたよ。新しい先生、イケメンなんだって？」
「…A、あんま顔見てない」
黒「お前さ…ホント、俺に似てるよな」
「にぃにほどじゃないもん…」
そう言って、コテンとベッド脇の俺にもたれる妹は、多分俺に負けず劣らずの人見知りだけど、これ以上は機嫌を損ねるだけなのでやめておく。
父さん曰く、Aの目線に立って、ゆっくり心開けるようにしてくれてるって…めちゃくちゃいい先生のように感じるけど、今のAの警戒心では難しいらしい。
「声は…優しかった…」
黒「ん？…あぁ、中島先生？」
「そう。顔は、見てないけど…挨拶は、した」
黒「ははっ。父さんにしろって言われたからだろ？」
図星…と言って顔をしかめるAは、どんな状況、相手でも、礼儀をしっかりするべきだという父の教えは素直に受け止めたらしい。
「あ…」
黒「ん？」
「中島先生の、足音…」
恐るべし、地獄耳。
Aの予言通り、カラカラと静かにドアを開けて入ってきたのは、小児科では見たことのない先生。
中島「Aちゃーん、こんにちは。あ、今日は…お兄ちゃん？」
黒「あ、はい…あの、、兄の、北斗です」
突然のことに、俺が少し戸惑いながら答えている様子が面白かったのか、背中に隠れながら、クスクスと笑うA。
そんなAを見て、中島先生は、“初めて僕の前で笑った〜！”って、どこか嬉しそう。
顔も見せない、話もしないAが、ただ俺に隠れて笑ったことに満足したのか、また来るねと声をかけて去って行った中島先生。
黒「なんか…変わった人だな」
「毎日、来てくれる…優しい」
うまく表に出せてはいないけど、もしかしたら、AはAなりに、あの先生に心を開いてるのかもしれないなって、そんなふうに感じた。
ただの、兄の勘だけど。
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いちご(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年7月18日 16時) (
レス) id: e02ec1dba7 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - あやかさん» コメントいただきありがとうございます！移行先では、いよいよ移植に踏み切ります…また楽しみにしていただけるように、頑張ります！移行先でもよろしくお願いします♪ (2021年7月5日 0時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 主人公ちゃんが元気になるように、手術が上手く行きますように...と毎話読む度に願ってます。続き、楽しみにしています！ (2021年7月3日 22時) (レス) id: 4008fd041a (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ゆいさん» コメントいただき、ありがとうございます！今後の展開も、ぜひお楽しみいただけるよう、頑張って更新していきます！ (2021年6月27日 19時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ルールがあっても、それでも北斗が最愛の妹を救う未来を夢見てしかたないです。これからお話どうなっていくか、楽しみです！ (2021年6月26日 13時) (レス) id: 3cf7c41044 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2021年5月16日 17時
