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【大我】
「たーがせんせぇ〜」
桃「え？どうしたの？」
「ふふっ。びょーいん帰る前に、寄った」
目黒が卒業して、Aが転校したこの学校の保健室には、ここを居場所とする子は今のところいなくて、いつもと同じように、1人事務仕事でパソコンを叩いていた。
そんな所に、よく知った、数ヶ月前までは毎日のように耳にしていた声が聞こえてきた。
“たーがせんせー”なんて、ちっちゃい頃の呼び方に戻った、舌っ足らずな話し方をするのは、Aだけ。
桃「樹に送ってもらったの？」
「うん、そー。だから、あんまりずっとは居られないんだぁ」
桃「あら、それは残念」
思ってないじゃん〜って笑うAは、思ったより元気そうで、きっと外泊がいい気分転換になったんだろうと思う。
それでも、慢性的な貧血で顔色は悪いし、きっと何度も血圧測ったりする中で、うっ血してしまった腕のあざが痛々しく残っていた。
桃「そういえば…お前、目黒の」
「あーーーっ…大我せんせ、デリカシー」
桃「いや、2人っきりじゃないの」
「それにしてもだよ。誰が廊下で聞いてるかわからないじゃない」
そんなこと言いながらも、ちょっと恥ずかしそうに笑うAは、目黒とそういう関係になったわけではないらしい。
俺は卒業式のあの日、この子が目黒に“第二ボタン”をもらったって…あぁ、情報源は慎太郎だった。
「うん、もらった。めぐ先輩の第二ボタンは、もらったよ。でも…そういう関係になるのは、お互いまだ勇気が出せなかった」
桃「…病気のこと、気にしてる？」
「んー、まぁ、そうかな。だって…どうなるか分かんないからさ」
言っていることは少し寂しい言葉だけど、思ったよりも悲しそうな顔はしてなくて、むしろ前向きな、明るい表情をしていた。
きっと、Aも目黒も、たくさん考えて出した一つの形なんだろう。
たった17、8の少年少女が、精一杯考えて出したその形が、いつか結ばれたらって、そう願わずにはいられなかった。
青「おーい、A。そろそろ帰るよ」
「あーあ、もうそんな時間かぁ…。たーがせんせ、またね」
桃「ん。また病院も顔出すよ」
もう少し、Aの話も聞いていたい気分だけど、残念ながらタイムアップ。
続きは、もう少し落ち着いてから、楽しみにしてるね。
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いちご(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年7月18日 16時) (
レス) id: e02ec1dba7 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - あやかさん» コメントいただきありがとうございます！移行先では、いよいよ移植に踏み切ります…また楽しみにしていただけるように、頑張ります！移行先でもよろしくお願いします♪ (2021年7月5日 0時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 主人公ちゃんが元気になるように、手術が上手く行きますように...と毎話読む度に願ってます。続き、楽しみにしています！ (2021年7月3日 22時) (レス) id: 4008fd041a (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ゆいさん» コメントいただき、ありがとうございます！今後の展開も、ぜひお楽しみいただけるよう、頑張って更新していきます！ (2021年6月27日 19時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ルールがあっても、それでも北斗が最愛の妹を救う未来を夢見てしかたないです。これからお話どうなっていくか、楽しみです！ (2021年6月26日 13時) (レス) id: 3cf7c41044 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2021年5月16日 17時
