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【渡辺】
病棟へ上がってくるなり、ステーションで俺の背中にひっついて泣いているA。
佐久間からも、ちょっとヤバいかもって受けてたし、急遽フリーにしてもらって、お嬢さんの心のケア。
「ｸﾞｽｯ…ﾊｧｯﾊｯ、ﾊｯﾊｧｯ」
渡辺「っと…」
最近、あんまり“本当の感情”が出せてなかったAだから、気の済むまで泣かせとこうと思ったんだけど…うん、これは流石にまずい。
そう思って、2人きりになれる場所へAを連れていけば、ワーッとまた泣き出して、ギュッと俺に抱きついてくる。
と、さすがに体力を使い切ったのか、静かになったAがコテンと俺の方に倒れてくる。
渡辺「おーっとっと、ちょ待って。あっちぃね。A、寒い？熱い？」
「さ、むい…」
渡辺「あーら。まだ上がりそうだなぁ…」
泣いたら熱上がるよって言っても、お構いなしに涙を流し続けるA自身も、どうして泣いているのかさえ分かっちゃいない。
とにかく、照に連絡して解熱剤の点滴してやるけど、涙は止まらないから、ゆっくり背中を刺さり続ける。
根気強くAと向き合い続けてれば、ようやくAの涙も呼吸も、少し落ち着いてきた。
少しうとうとしてきて、このまま寝てくれちゃったら楽かなぁなんて思った頃、Aが口を開いた。
「しょっぴぃ…」
渡辺「んー？なぁにー？」
「ママって…どんな声、してた？」
予想外の質問に、思考がストップした。
「みんなが…ママのことを思ってる…。Aも、ママのこと…好き…でも…」
“Aの夢の中のママは、しゃべらない”
“だって…なにも知らないから…”
“いい思い出とも重ねられるみんなが、羨ましい”
渡辺「A…」
「ママと…重ねられるのは、嫌じゃない。でも…それで…それでっ…ｹﾎｹﾎｯ」
渡辺「ちょっ…落ち着けって…」
そりゃぁ、敏感なこの子が気づかないはずない。
どれだけ自分の中で葛藤して、気づかないふりして、感情を押し殺して振る舞ってたかと思うと、やりきれない。
「みんなが…Aも死んじゃうんじゃないかって…悪い方にも重ねて、不安になるのが、嫌…ｹﾎｯ。でも悪い方にしか、重ねられない自分が…一番、嫌」
“Aは、Aなのに…”
まるでナイフのように、鋭く感じる言葉だった。
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いちご(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年7月18日 16時) (
レス) id: e02ec1dba7 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - あやかさん» コメントいただきありがとうございます！移行先では、いよいよ移植に踏み切ります…また楽しみにしていただけるように、頑張ります！移行先でもよろしくお願いします♪ (2021年7月5日 0時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 主人公ちゃんが元気になるように、手術が上手く行きますように...と毎話読む度に願ってます。続き、楽しみにしています！ (2021年7月3日 22時) (レス) id: 4008fd041a (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ゆいさん» コメントいただき、ありがとうございます！今後の展開も、ぜひお楽しみいただけるよう、頑張って更新していきます！ (2021年6月27日 19時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ルールがあっても、それでも北斗が最愛の妹を救う未来を夢見てしかたないです。これからお話どうなっていくか、楽しみです！ (2021年6月26日 13時) (レス) id: 3cf7c41044 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2021年5月16日 17時
