119 ページ19
【森本】
俺のクラスにポッカリ空いたひとつの空席。
あの空席は、もう埋まることはない。
Aは、なんとかこれまで頑張って単位も取ってくれて、進級にも問題はなく、退院でき次第、進級に向けて学校にも戻ってくる予定だった。
単位を引き継いで、うちの学校で卒業を迎えることも選択肢としてあったけど、最終的にAは、転校を選んだ。
緑「よっ！」
「あ、慎ちゃーん！」
よかった、さすがに顔色は悪いけど、今日は割と元気な方みたいだ。
仕方ないとはいえ、あんな形のままAが学校を去るのは、情けなかったし、俺にとっても悲しかった。
でも、開き直ってしまえば、Aと慎ちゃんの関係に戻っただけ。
緑「ねぇ、これなにー？」
「んー、なんかねぇ…なんだっけな？なんか、さっくんが置いてった！」
緑「お前なぁ笑」
絶対治療だか検査だかに必要な何かなんだけど、よく分かってないA、ちょっと心配になるけど、人の話聞いてないのは、いつものことだしな…。
苦笑しながら、教室いるとき俺の話も聞いてなかったもんね〜って笑えば、そんなことないって言いながら頬を膨らませるA。
そんなAのほっぺを突っついて遊んでれば、急にツーっと一筋流れてきた鼻血。
緑「っと…ちょ、上向くなおバカ」
「慎ちゃん、ティッシュぅ…」
緑「ん、手離していいよ。手以外汚れてない？」
「だいじょぉぶ」
鼻血が出て上を向いたAは、やっぱり俺の授業、聞いていなかったんだろうねぇ…。
応急処置の授業で教えたぞ？って言いながら様子を見てても全然落ち着かなくて、左手でナースコール。
しょっぴーが来た頃には、フラフラするほど気持ち悪くなっちゃって、完全に俺に支えられてる状態だったAは、急遽輸血することに。
緑「…よくあんの？」
「うん、よくある…」
渡辺「は…？よくあるの？…聞いてないよ？」
「…鼻血は久しぶり」
せめてもの抵抗でそう言ったんだろうけど、そうは甘くない しょっぴーに こっぴどく叱られて、樹が来たら報告だと怒られている。
助けを求めて俺を見るけど、残念、それはさすがの慎ちゃんでも無理だよ〜って、せめてもの優しさで一緒に怒られてあげた。
よその子だからって甘やかすなよって、樹から怒られたのは、心外だったけどな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 842人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いちご(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年7月18日 16時) (
レス) id: e02ec1dba7 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - あやかさん» コメントいただきありがとうございます！移行先では、いよいよ移植に踏み切ります…また楽しみにしていただけるように、頑張ります！移行先でもよろしくお願いします♪ (2021年7月5日 0時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 主人公ちゃんが元気になるように、手術が上手く行きますように...と毎話読む度に願ってます。続き、楽しみにしています！ (2021年7月3日 22時) (レス) id: 4008fd041a (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ゆいさん» コメントいただき、ありがとうございます！今後の展開も、ぜひお楽しみいただけるよう、頑張って更新していきます！ (2021年6月27日 19時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ルールがあっても、それでも北斗が最愛の妹を救う未来を夢見てしかたないです。これからお話どうなっていくか、楽しみです！ (2021年6月26日 13時) (レス) id: 3cf7c41044 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かん。
| 作成日時：2021年5月16日 17時
