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【樹】
「ん…っ」
青「落ち着いた？」
「ッ…パパぁ…っ」
気の済むまで泣けって、そう言ったのは俺で、ずーっとそんなAの背中をさすってくれるのは、北斗。
壊れてしまった、Aの骨髄。
“代わってあげたい、なんて…思わないで？”
いつの日か聞いた声が、蘇る。
青「Aに、コレあげる」
「…ん？」
まだ鼻をスンスンとすすって泣いているAが、不思議そうに手に取るのは、この15年、俺が肌身離さずつけていたお守り。
笛の形をしたそれは、人生最後の修学旅行前に入院が決まって大泣きする17歳のちぃに、俺がプレゼントした、安モンのネックレス。
“困ったらいつでも呼べよ。すぐ駆けつけてやっから”
2人っきりの、夕焼けに染まった病院のロビーで、そんな臭いセリフと一緒に渡したんだっけ。
ロマンチックのかけらもないアイツは、それならケータイ鳴らすもんって、強がってたくせに、結局亡くなるあの日まで、片時もコレを手離すことはなかった。
青「ん…よし。コイツ、今度はAを守る番だな。何かあったら、すぐに呼びな。パパ、いつでも駆けつける。パパが絶対ぇ助けてやっから。な？」
「パパ…電話、いつでも出る？…すぐ、来れる？」
涙をいっぱいに溜めて小さく頷いたAが、遠い昔に聞いたのと似たことを言うもんだから、危うく俺の涙腺は崩壊寸前のところで耐えた。
どうやら親子2代、揃って俺の大事な女はロマンチストではなかったらしかった。
熱を帯びた体が、俺の腰にしがみついて、あの日のちぃと同じように、大事そうにその笛に触れる。
青「Just...call my name, when you need me. I'm right here, stay...with me.」
「えっ…？」
青「ワガママになんなさい、A。頑張って…強い子になんか、なんなくていい。弱虫でいい。泣き虫でいい。今の…今のAのままでいいから」
“だから、いなくなんないで…”
頼りないパパかもしんないけど、ずっとAのそばにいて、必ずAを支えるから。
だから…。
いつの間にか、Aよりも俺の方が泣いていて。
隣では、北斗も俺と同じくらい泣いてた。
“樹くんってほんと、涙もろいのね”
クスクスと笑って、そんな風に俺を揶揄う声が、どこからか聞こえたような気がした。
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いちご(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年7月18日 16時) (
レス) id: e02ec1dba7 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - あやかさん» コメントいただきありがとうございます！移行先では、いよいよ移植に踏み切ります…また楽しみにしていただけるように、頑張ります！移行先でもよろしくお願いします♪ (2021年7月5日 0時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 主人公ちゃんが元気になるように、手術が上手く行きますように...と毎話読む度に願ってます。続き、楽しみにしています！ (2021年7月3日 22時) (レス) id: 4008fd041a (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ゆいさん» コメントいただき、ありがとうございます！今後の展開も、ぜひお楽しみいただけるよう、頑張って更新していきます！ (2021年6月27日 19時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ルールがあっても、それでも北斗が最愛の妹を救う未来を夢見てしかたないです。これからお話どうなっていくか、楽しみです！ (2021年6月26日 13時) (レス) id: 3cf7c41044 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2021年5月16日 17時
