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【樹】
数時間前までの記憶は、ほとんどない。
毎年の恒例行事になりつつあるけど、毎年その場にいない子どもたちを思うと、きっと気を使わせてるんだろうなってのは、分かってる。
「お菓子もらってくるね」
青「ん、行ってら」
新年の始まりは、いつもこの神社。
家から数分の神社で、別に何の御利益があんのかなんて、ぶっちゃけ どうだっていい。
幼い頃、ちぃや慎太郎達と毎日のように遊んでは怒られた神社は、あの頃よりも小さく感じる。
「ん、パパも食べる？」
青「お〜、さんきゅ」
両手におでん持って戻ってきたAを見て、思い出すのは昔のこと。
中2の夏。
先輩と喧嘩して、母親に怒られんのも、優吾に詮索されんのも嫌で、夜まで時間を潰したのも、この神社。
アイス持って、ちぃが迎えにきてくれたっけ。
“あーあー、樹くん、変な顔！”
“バーカ。誰のために喧嘩してやったと思ってんだよ”
“ふふっ。ありがと。でも…もうやめてね？”
あれが、俺の人生最後の、派手な喧嘩。
黄「肉まんでも食う？」
青「お前、狙ってんだろ」
高1の冬。
何もかも投げ出したくなったちぃが、泣いていた。
体調悪いくせに家出して、でも遠くへは行けなくて、結局この神社。
“…肉まん食うか？”
“そこは…風邪ひくから帰ろうじゃないの？”
“帰りたくないんだろ。それに、風邪はもう手遅れ”
“ふふっ、なにそれ。…迎えにきてくれて、ありがと”
ちぃは、あのあと結局、風邪ひいた。
「ねぇ、パパ。間違ってたらゴメンけどさ…」
青「んー？なした？」
「にぃにの自転車の練習…ここでした？」
青「えっ…覚えてんの？」
驚いた。
Aの言う通り、北斗はここで自転車に乗れるようになった。
仕事が終わったあと、まだ赤ん坊のAを連れて、4人で毎日ここに通った。
“ほっくん、泣かないの”
“やだぁ、できないもん！”
“A、にぃに弱虫だねぇ。困っちゃうねぇ”
“ううぅっ…パパぁ、もーいっかい！”
あれが、負けず嫌いの北斗の、原点かも。
「ふふっ。覚えてないけど、覚えてる」
青「ははっ！んっか、んっか！」
ちぃはもう居ないけど、俺の周りには、ちぃの残してくれた大切な人がたくさんいる。
そんな幸せを実感する、年の初め。
ちぃ、今年もよろしくな。
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いちご(プロフ) - 続き楽しみです！ (2021年7月18日 16時) (
レス) id: e02ec1dba7 (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - あやかさん» コメントいただきありがとうございます！移行先では、いよいよ移植に踏み切ります…また楽しみにしていただけるように、頑張ります！移行先でもよろしくお願いします♪ (2021年7月5日 0時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 主人公ちゃんが元気になるように、手術が上手く行きますように...と毎話読む度に願ってます。続き、楽しみにしています！ (2021年7月3日 22時) (レス) id: 4008fd041a (このIDを非表示/違反報告)
かん。(プロフ) - ゆいさん» コメントいただき、ありがとうございます！今後の展開も、ぜひお楽しみいただけるよう、頑張って更新していきます！ (2021年6月27日 19時) (レス) id: bd45e6ad2b (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ルールがあっても、それでも北斗が最愛の妹を救う未来を夢見てしかたないです。これからお話どうなっていくか、楽しみです！ (2021年6月26日 13時) (レス) id: 3cf7c41044 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かん。
| 作成日時：2021年5月16日 17時
