となりの新山くん (ページ8)

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08.ふたつがひとつになった午後ページ8

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数日後。

「好き」を自覚するタイミングの悪さを自覚しながら、冷蔵庫を覗き込む。うーん…どうしよう、何作ろう………、……駄目だ、雑念が多すぎる。とりあえずスーパーに行こう。スマホと財布をポケットに押し込んで外に出ると、右隣から扉が開く音がした。…タイミングが良すぎやしませんか。

「どこ行くん」
「そこのスーパー。新山くんは？」
「俺もスーパー行くとこやった」

まさか過ぎる。こんな偶然ある？そう思ってたら、新山くんがまんま声に出すから思わず笑ってしまう。同じ場所に行くのだから、という理由で私たちは一緒にスーパーに行くことにした。

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「何作ろうかなぁ」
「今日の晩飯？」
「そうそう」

買い物かごを片手に、とりあえず切れそうな調味料を放り込んでいく。ちなみにまだ、夕飯のメニューは決まらない。少し後ろを着いて歩く新山くんのかごには、ジュースやらお菓子が数個。…今日って、仕事休みだったのかな。

「新山くん何食べたい？」
「俺？そうやなぁ、ハンバーグ食べたい」
「また面倒なものを」
「聞かれたから答えただけやん！」

背後で賑やかな新山くんをスルーしつつ、精肉コーナーへ向かう。ハンバーグか…久しぶりに作ろうかな。ずらりと並ぶ挽肉を見て、それから新山くんを見た。振り返った私にびっくりしたのか、きょとんとしている。…ちょっとその顔可愛い。

「…新山くんも食べる？」
「えぇの？」
「新山くんが食べるならこっち買おうかなって」
「食べる！Aのハンバーグ食べたい！」

食い気味に返事が返ってきた。ははっと思わず笑みが溢れる。しょうがないな、面倒だけど食べたい！って目を輝かせて言われたら作るしかない。むしろ作りたいとさえ思ってしまう。

「俺かご持つよ、てか一個にしよ」
「え、でも」
「この間も鍋ご馳走になったし今日もやもん。こんくらいさせてや」

ふたつのかごの中身をひとつにして、新山くんが持ってくれた。ありがとうとお礼を言うと、大したことじゃないと笑ってくれる。もしかして今、周りから見たら恋人同士に見えたりするんだろうか。実際はただの喫煙仲間で、たまにキスする不思議な関係なのだけど。

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