となりの新山くん (ページ3)

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03.やっぱり別世界の人に見えたページ3

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舞台上に立つ新山くんは、それはそれは活き活きしていた。ベランダで少し気だるそうに煙草をふかす姿しか知らなかったから、その姿が妙に眩しくて住む世界が違う人なんだなぁ、芸能人なんだなぁ、と改めて思った。

その日の晩、新山くんがベランダに現れることは無かった。他の芸人さんたちと飲みに行っているのだろう。手すりの柵に寄り掛かりながらふう、と息を吐く。新山くんってボケだったんだ…と、そんな事を考えながら。

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「Aって普段コンタクトなん？」

二本目に火をつけながら新山くんに尋ねられた。うん、と返事をしたら紫煙を吐き出した新山くんがじーっと見つめてくる。

「この間見に来てくれた時さ、眼鏡じゃなかったから一瞬分からんかった」
「あ、そっか。てかよく見つけたね」
「結構お客さんの顔見えんねん」

へえ、そうなんだ。と返事をしながら、私も二本目を手に取る。ペース早ない？と突っ込まれたので、新山くんには言われたくないよ、と返した。

「生で漫才見るの初めてだったんだけど面白かった」
「ほんま？良かった！嬉しいわ」

弾むような新山くんの声。思わずふふ、と笑みがこぼれた。舞台上の新山くんを見て別世界の人だ、と思ったけど今こうして話をしている新山くんはいつもの新山くんで不思議な感覚がする。

「Aってさ、笑うと幼く見えるな」
「そうかなぁ…一応新山くんと同い年なんだけど」
「普段はちょっとクールな感じちゃう？」
「え、全然そんなことない」

多分ただの人見知りだと思う。そう続けると、新山くんは納得したのか最初ベランダで鉢合わせた時もそうだったなぁ、と呟いた。

「………あ、そういえば実家から野菜が沢山来てさ、」

良かったら近々、うちで鍋パでもしませんか。そう尋ねると、新山くんは二つ返事で了承した。

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