9.君が呼ぶから特別なんだ ページ9
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親指の腹でそっと目元を撫でられる。思わず目を瞑ると、石井さんにキスされた。触れるだけの、やさしいキス。喜びで、身体が震える。想いを通じ合わせてするキスは、涙の味がした。
「…しょっぱ」
唇を離した石井さんが囁く。涙でぐちゃぐちゃの顔を晒している事に気付いた時、これで拭けとハンカチが押し当てられた。遠慮なく使わせてもらい、少しづつ落ち着きを取り戻す。同時に状況を把握する頃には、顔を真っ赤にして俯くしかなかった。
「A」
「………」
「……A」
「！！！！」
下の名前で呼ばれて思わず顔を上げてしまった。してやったり顔の石井さんと目が合う。…ずるい。今このタイミングで呼ぶなんて。
石井side.
やっと。……やっとや。やっっっとAと両想いになれた。嬉しくないわけが無い。めちゃくちゃ嬉しい。試しに下の名前で呼んでみたら思った通り顔上げるし、ほんま分かりやすい。A。……A、か。Aもええけど、やっぱ名前で呼ばれた方が特別感が増すな。
「石井さん、」
「……」
「石井、さん」
「…………」
「…………誠一、さん」
……誠一さんも悪くないけど、もう一声欲しい。
「………誠一、くん…？」
「……っあーーーやばいな、うん、」
やばい。めちゃくちゃ良い。Aに石井さん、って呼ばれるのも好きやったけど下の名前で呼ばれんのはまた全然違うな。あかん、顔緩む。
「……誠一くん、って呼んでいいんですか」
「……なんなら二人の時はタメ口でええけど」
その方がもっと距離近く感じるし、逆に職場で敬語で話しかけられた時のギャップもやばいかもしれん。ええ歳して舞い上がってんな俺。でもしゃーないやん、ずっと好きだった子とやっと両想いになれたんやから！
「A」
「っ…誠一くん、」
「好きや。めっちゃ好き」
真っ直ぐなとこも、何でも一生懸命やるとこも、しょーもないミスするとこも、俺以外の奴を見てた横顔も。そして今、俺の事を真っ直ぐに見るAがたまらなく愛おしい。
「誠一くんで頭がいっぱいなの、…責任取ってよ」
「一生取ったるよ」
サラ、と返したらAがぽかんとした顔をした。……あ、なんか今のプロポーズっぽく聞こえなくもない。かも？
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あず(プロフ) - あんこさん» あんこさん！コメントありがとうございます😌💖どちらも楽しんでいただけて良かったです！番外編ものんびりアップしていくのでお時間のある時に読んでやってください〜！✨️ (2月14日 23時) (
レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 完結おめでとうございます✨新山さん編、石井さん編どちらも見ました！すごい良かったです☺️特にラストと番外編の話ときめきました！🩷番外編楽しみにしてます✨ (2月14日 7時) (レス) @page12 id: 262806c1af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず | 作成日時：2024年2月6日 22時
