7.君が話すまで離さない ページ7
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「あーもう………」
カタカタカタ、と無機質な音がしんと静まり返った空間に響く。外は真っ暗、定時など当の昔に過ぎていた。明日提出のデータ作成をうっかり忘れていて、大慌てで作成しているのだが慌てている時というのはミスも多発するもので。
「〜〜ッもう…！」
些細な入力ミス。ここ数日のモヤモヤと嫉妬疑惑と、自分の気持ちの分からなさで鬱憤が溜まっていた。何より、石井さんとまともに話せていない。それが一番の原因のような気がする。今日も朝から挨拶出来なかったし、その後もずっと……
………はぁ、と大きなため息が零れた。何やってんだろう。…ほんと、情けない。じわ、と視界が歪む。だめだ、職場では泣かないって決めたのに。下唇を噛んでみるけど、ぱた、と手の甲に落ちた涙が視界に入る。だめだだめだだめだ、泣いたって仕事は終わらない、
「──…A？」
「……っ、…」
今一番、会いたくなかった人。…今一番、会いたかった人。背後から声を掛けられ、びくりと肩が跳ねた。聞き間違えるはずが無い。この声は、石井さんだ。でも振り向けない。こんな情けない顔見せたくないからだ。
石井side.
仕事を終えて、同僚と軽く飯を食いに行った帰り道。見上げた先には数時間前に出た会社のビル。あの階……うちの部署か？まだ誰か残ってんのか。めっちゃ残業するやん、誰が………まさか、A？帰る時離席していて姿を確認出来なかったが、今日もずっと忙しそうにしていた。ここ最近、ずっとすれ違ってる気がする。まともに話せてない。
…もしかしたら、Aじゃないかもしれない。それならそれでええけど、何だか妙に気になって気付いた時にはエレベーターに乗り込んでいた。はやる気持ちを抑えながら室内を覗くと、Aがたった一人で残っていた。あの馬鹿、もう何時やと思って………………え？なに、何でなん。何でお前泣いてんの、
「──…A？」
「……っ、…」
見間違えたと思ったし、見間違いであって欲しかった。けど俺は、確かに見たのだ。肩をビクッと跳ねさせたAは、一向にこっちを見ない。それどころか、立ち上がって逃げようとする。でも逃がす訳ない。逃がさへん。
「っ石井さ、」
「逃げんな」
Aって、こんなに華奢やったっけ。背中ちっちゃ。そんな事を考えながら、俺はAを後ろから抱き締めた。
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あず(プロフ) - あんこさん» あんこさん！コメントありがとうございます😌💖どちらも楽しんでいただけて良かったです！番外編ものんびりアップしていくのでお時間のある時に読んでやってください〜！✨️ (2月14日 23時) (
レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 完結おめでとうございます✨新山さん編、石井さん編どちらも見ました！すごい良かったです☺️特にラストと番外編の話ときめきました！🩷番外編楽しみにしてます✨ (2月14日 7時) (レス) @page12 id: 262806c1af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず | 作成日時：2024年2月6日 22時
