番外編�▲船腑海茲蟯鼎� ページ13
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「モテますねえ、石井さん」
「は？…何やねん急に」
朝のお決まりと化してる、エレベーター前での誠一くんとのやり取り。挨拶もせずに後ろから声を掛けると、怪訝そうな誠一くんと目が合った。でもそれも一瞬、私は直ぐに誠一くんの手元に視線を落とす。
「さっきそこで貰ってましたね、それ」
「……あぁ、これか」
「バレンタインですもんねぇ」
今日は2月14日、バレンタインデー。
社内でも社交辞令的に渡す人もいれば、誠一くんが持っているようなガチなものを渡す人もいる。…あの紙袋、中に入っている箱の形から推測するに五千円近くするのでは？社交辞令でそんなもの渡す？絶対ガチなやつじゃん本命じゃん。受け取らないでとは言わないよ、言わないけども。私が一番に渡したかったなーって思うのくらい、いいじゃない。
「怒ってんの」
「怒ってないです」
「怒ってるやろ」
敬語やし、と誠一くんは続ける。……う、鋭い。でも本当に怒っている訳では無い。怒ってる、とはちょっと違う感情だ。
「……こっち」
「へ？あ、誠一く、！」
目的のフロアに到着するなり、グイッと腕を引っ張られた。来客用のちょっとした応接室に連れ込まれた私は、連れ込んだ当の本人を見るのも何だか気まずくて視線を足元に落とす。
「ちゃんと断ったから」
「え…」
「これ渡された時、経理の子に告られてん」
ほら、やっぱり。やっぱり本命だった。でも、正直に話してくれて嬉しいと思う自分もいる。
「付き合ってる子がおるからごめん、ってちゃんと言ったから。Aが不安に思う事なんか何もないって」
そう言って、誠一くんが顔を覗き込んでくる。……やだ、今の顔見られたくない。ふい、と顔を逸らそうとするのに誠一くんはそれを許さなかった。
「A」
「…っ、」
誠一くんの掌が頬に触れて、思わず顔が上向いたその一瞬だった。誠一くんの顔、近い。…キス、されてる。そう頭で理解した頃には、ゆっくりと離れていく唇。思わず目で追いかけると、ふ、と笑われた。
「…もう一回したいん？」
それはチョコレートなんかより、ずっとずっと甘い囁き。
end.
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
大遅刻バレンタインデー小話でした。
大人の余裕を見せつけてくるisiさん、書いてて楽しいです。
.
終わり
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あず(プロフ) - あんこさん» あんこさん！コメントありがとうございます😌💖どちらも楽しんでいただけて良かったです！番外編ものんびりアップしていくのでお時間のある時に読んでやってください〜！✨️ (2月14日 23時) (
レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 完結おめでとうございます✨新山さん編、石井さん編どちらも見ました！すごい良かったです☺️特にラストと番外編の話ときめきました！🩷番外編楽しみにしてます✨ (2月14日 7時) (レス) @page12 id: 262806c1af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず | 作成日時：2024年2月6日 22時
