番外編�‘鷽佑世韻糧詭� ページ12
.
スマホを眺めながらソファでごろごろしていると、ふと気になる記事を見つけた。憧れのオフィスラブシチュエーション…？
「…………これ、いいかも」
──…翌朝。
一本早い電車に乗って、誠一くんより早く出社する。挨拶しながら席に座り、すぐ使えるようにとデスクの上に置いたままにしている付箋に手を伸ばした。文字を書き込んで、ぺり、と丁寧に剥ぐ。クリアファイルに入れた書類にぺた、と貼り付けるとそれを片手に立ち上がり誠一くんのデスクに置いた。勿論、ちゃんと裏返して、だ。
……あ、来た。誠一くんの声で出社を確認するけど、あえて見ない。でも反応は気になるから、あくまで意識は目の前のデスクトップにありますよを装いつつバレないようにそっとに目配せした。クリアファイルに手を伸ばし、内容を確認したはず……なのに、誠一くんはこっちを見ない。あれ、ノーリアクションだ。なんだ、あれくらいじゃビックリしないか。
・
・
・
あっという間に定時になり、仕事を終えた人達がゾロゾロと帰宅していく。私はといえば、厄介な案件を抱えていてここ最近は残業続きだった。
「…まだ終わらんの」
ふと顔を上げると、向かいの席に誠一くんがいた。…いつの間に。びっくりしていたら、頬杖をついた誠一くんにじーーっと見つめられていた。なんか、視線が痛い。もしかして、今朝の付箋のこと怒ってるのかな。
「何やねん、今朝のあれ」
「…あれ？」
わかってて聞き返すと、誠一くんの眉間にシワが寄ってしまった。あ、まずいまずい。わざとらしく視線をデスクトップに戻してみるけど、正面からの視線が痛すぎる。
「やる事が可愛すぎるやろ」
「………へ？」
聞き間違えた？パッと視線を誠一くんに向けたら、相変わらずムスッとしてたけど心做しか嬉しそうにも見えて。声を掛けようとしたら、あんま遅くなんなよ。と一言残して帰ってしまった。
──翌朝。いつもの時間に出社すると、書類が入ったクリアファイルが置いてあった。昨日誠一くんに出した書類の戻しかな。手を伸ばして裏返すと、昨日と同じ場所に付箋が貼ってあった。思わず緩んでしまった口元をファイルで隠しつつ席に座る。そして改めて付箋に目を落とした。
二人だけの、秘密のやり取り。
……ちょっとこれは、ハマりそうかも。
《おはよう誠一くん！今日も頑張ろうね》
《Aへ。昨日はお疲れ。今日一緒に飯行こう》
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あず(プロフ) - あんこさん» あんこさん！コメントありがとうございます😌💖どちらも楽しんでいただけて良かったです！番外編ものんびりアップしていくのでお時間のある時に読んでやってください〜！✨️ (2月14日 23時) (
レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 完結おめでとうございます✨新山さん編、石井さん編どちらも見ました！すごい良かったです☺️特にラストと番外編の話ときめきました！🩷番外編楽しみにしてます✨ (2月14日 7時) (レス) @page12 id: 262806c1af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あず | 作成日時：2024年2月6日 22時
