1.好きな人といるはずなのに ページ1
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定時きっかりに仕事を終え、お疲れ様でしたと周囲に声をかけて立ち上がる。スマホに目を落とすと、エントランスで待ってる、と新山くんからLINEが来ていた。何となく石井さんの方を見るのが気まずくて、足早にエレベーターに乗り込んだ。
新山くんと二人でご飯なんて、いつぶりだろう。…昨日あんな事があったのに。チラ、と向かい側に座る新山くんを見る。別れた、って言ったあと新山くんは逃げない、と言った。その後の言葉が上手く聞き取れなくて…というか、その後のキスで前後の会話なんてあやふやだった。
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「美味かったなぁ」
「ごめんね、全部出して貰っちゃって…」
「言ったやろ、これはあの時のお礼やって」
だから何も気にする必要は無い、と新山くんが笑うと少しだけ、心が揺れた。新山くんは大切な同期で、好きな人。……好きな人。心の中でそう繰り返すと、石井さんの顔が浮かんで消えた。
『……好きや』
──…石井さんの好きな人は、私。私が好きなのは……
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寒さも幾らか和らいできた頃、珍しく朝礼が開かれることになりその場で新しい派遣さんが紹介された。小柄で可愛らしい子。産休で不在の派遣さんに代わって補充されたその子は、石井さんの向かい側の席に案内された。
「どうしたのAさん」
「あ、いや…」
隣の席の仕事が出来るパーフェクトな先輩(通称しごでき先輩)に声をかけられた。石井さんに確認したいことがあるんだけど、例の派遣さんのパソコンを覗き込みながら話をしているからどうも声をかけるタイミングが分からないのだ。…ま、いっか。後にしよう。
結局その日は声をかけられないまま定時を迎えてしまった。机の隅に、ぽつんと残る書類。うーん。急ぎの案件でもないし明日でも良いんだけど………
「何してんの」
「わ！びっくりした」
「お前の声の方がビビるわ」
過去に何度も、石井さんには声の大きさを指摘されている。直近だと、二人で居酒屋に行った時だ。ボリューム落とせ！って言う石井さんの声も大きかった。思い出し笑いをすると、訝しげに見られてしまう。その視線から逃れるように隅に置いていた書類をずい、と差し出した。チラ、とそれを受け取った石井さんは何で今なん、と言う。
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あず(プロフ) - あんこさん» あんこさん！コメントありがとうございます😌💖どちらも楽しんでいただけて良かったです！番外編ものんびりアップしていくのでお時間のある時に読んでやってください〜！✨️ (2月14日 23時) (
レス) id: de1b10e721 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 完結おめでとうございます✨新山さん編、石井さん編どちらも見ました！すごい良かったです☺️特にラストと番外編の話ときめきました！🩷番外編楽しみにしてます✨ (2月14日 7時) (レス) @page12 id: 262806c1af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あず | 作成日時：2024年2月6日 22時
